エッセイを書こうと思い立ったとき、まず直面するのがテーマ設定の問題です。
テーマ設定を巡る問題には、大きく分けて以下の二つがあります。
①ありきたりなテーマになってしまい、独自性が出せない
②独自のテーマすぎて、分かりやすく伝えられない
したがって、エッセイのテーマとして望ましいのは、言われてみるまで気付かなかったが、言われてみればたしかに共感できるテーマということになります。
違和感と共感のちょうどぎりぎりを狙うこの微妙な塩梅に、エッセイの魅力はかかっています。
そこで本コラムでは、エッセイ作品のテーマ設定についてご紹介します。
新しいのになじみ深い、理想的なテーマ設定の技術を身に付けましょう。
エッセイにおいて重要な「独自性」とは、奇抜であることとは違います。
ただ奇抜なことを書いても、読者からの共感は得られず、魅力にはつながりません。
読者が共感できるのは、かつて見聞きしたことや、自ら経験したことだけです。
したがって、読者が魅力に感じる新鮮なアイデアは、すでによく知られた要素の組み合わせから生み出されることが多くあります。
例えば西小山の「フロナカ書店街」は、書店とある施設を組み合わせたユニークなスポットとして注目を集めています。
その「ある施設」とは、なんと銭湯。
銭湯のロビーに大きな書棚があり、棚の一角を購入して小さな書店を開くことができます。
心をいやす「読書」と「お風呂」を大胆にも融合させた、魅力的なアイデアです。
このように、新しいアイデアは誰もが知っているものの足し算からできていることが多くあります。
そんな、まだ見ぬ異色の組み合わせを発見するために有効なのが「連想ゲーム」です。
お使いのノートに好きな単語を書き、連想される単語をどんどん書き広げていきましょう。
ある程度ワードが集まったら、遠くの単語同士をランダムに結びつけてみます。
すると、自分が考えたとは思えない新鮮なアイデアが降ってくるのです。
テーマ決めのときは手が止まって考え込んでしまいがちですが、実はそれこそがスランプの最も大きな原因。
悩んだときこそ、まずは心の赴くままにペンを走らせてみましょう。
アイデアはそこから湧き上がってきます。
魅力的なテーマが決まれば、あとはそれを分かりやすく伝えるだけ。
ここで重要となるのが、丁寧な説明です。
なじみの薄い言葉が多く出てくるだけで、読者は読む気を失ってしまいます。
結果的に、なんとなく共感しにくいエッセイになるのです。
したがって、自分の生活を「当たり前」だと思わない姿勢が必要になります。
例えばあなたが、旅行での体験をもとにエッセイを書くとしましょう。
旅行が趣味のあなたにとっては、訪れた先はどこも「有名」なスポットかもしれません。
しかし、有名だからといって誰もが当たり前に知っているわけではありません。
そこからはどのような景色が見えるか、どのような逸話が語り継がれているか、歴史上の人物でいうと誰にゆかりのあるスポットか、ご当地で人気のお土産はあるかなど、丁寧すぎるくらいに説明するのがベストです。
説明を重ねることで、あなたが見たものを読者も見、あなたが聞いた音を読者も聞く──それを積み重ねていけば、いずれあなたが感じたことを読者も感じることでしょう。
それこそが共感です。
共感は説明から生まれる。
この言葉を鉄則に、ぜひエッセイ執筆に励んでみてください。
最後に、本コラムでご紹介した内容をおさらいしましょう。
・エッセイにおいて重要なのは「独自性」と「わかりやすさ」。
・連想ゲームのように手を動かすことで、意外なアイデアがおりてくる。
・独自のアイデアも、分かりにくいと読まれない。説明はとことん丁寧に。
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