新書の「まえがき」は、どのように執筆するのが良いのでしょうか。
新書の場合、「まえがき」と「あとがき」は、読者へのお手紙で紹介している文芸書の書き方とは大きく異なります。
今回は、その執筆ポイントをお伝えします。
新書の書き方講座で説明しているように、新書のターゲットはタイムリーな話題に興味関心がある人になります。即ち、自身の好みや気分、周りの評判などから読みたい書籍を選ぶ文芸書のターゲットと異なり、強い問題意識を持っているといえます。
あるタイムリーな出来事に対し、これがなぜ起きたのか、今どうなっているのか、これからどうなるのか、自分には何ができるのか…といった意識のことです。
このような読者の興味を引き付けるためには、著者自身が強い問題意識を持っていることを示すのが効果的です。例えば、私は今の状況にこのような危機感を感じている。世間やマスコミはこう言っているが実は、こうあるべきではないか。もっと可能性があるのではないか。といった問題提起と主張をすることになります。
ではここで、前回でもご紹介した、重版となった新書「派遣新時代」のまえがきを取り上げてみましょう。
あなたは「派遣」という言葉から何を思い浮かべますか。「秋葉原無差別殺人事件」でしょうか。あるいは「派遣切り」「年越し派遣村」「ネットカフェ難民」といった言葉でしょうか。いずれも2008年に起こった「リーマンショック」と相前後してマスコミを騒がせた言葉です。そして「派遣」という働き方について、決定的にネガティブな印象を世の中に定着させました。
しかし、本文で触れているように、これらのネガティブな印象は、実はマスコミによってつくられた誤った「印象」でしかありません。
(中略)
派遣として働く人は(中略)130万人弱。派遣として働く人は全労働者の3%にも満たないのです。(中略)そして正解を伝えると、みな一様に驚いた後、「じゃ、なんであれほど『派遣』が問題になるの?」と聞き返してくるのです。本書はまさに答えようとするものです。
(中略)
私は派遣の抱える多くの問題の中にこそ新しい日本人の働き方の萌芽があると考えています。
(後略)
以上はまえがきからの抜粋になりますが、いかがでしょうか。問題意識を持って新書を手に取った読者のあいまいなイメージを否定し、実際の数値では捉えきれない、派遣をとりまく問題を提起し、それでも派遣は働き方の萌芽であると主張しています。
読者に呼びかけ、問題提起し、そして強い主張を示すことで、読者を引き込んでいるのです。
この他にもまえがきの書き方は幾多もありますが、まずは売れている新書を参考にしてみるのもひとつの手です。特に興味を引かれたものは、そのまえがきを分解して書き方のパターンとして覚え、自身の新書に合う表現方法かを検討してみましょう。
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