コラム

運命を変える!?自費出版でつかむ商業出版へのチケット**

2007年に出版され大人気となった『B型自分の説明書』(Jamais Jamais 著、文芸社)。米倉涼子さん主演でドラマ化された小説『氷の華』(天野節子著、幻冬舎ルネッサンス)。映画「おくりびと」の原作『納棺夫日記』(青木新門著、桂書房)。

 これらのヒット作がみな、もともと自費出版で発売された書籍であることをご存じでしょうか?

出版不況が叫ばれる中、これらの書籍は商業出版をしのぐほどの売り上げを誇っています。

また、自費出版から作家として名をあげる方もいます。
今回は、その背景をご紹介します。

 

自費出版からの商業出版!どう生まれるか

 

『りんごかもしれない』『このあとどうしちゃおう』(いずれもブロンズ新社)などのヒット作を生んでいる人気絵本作家ヨシタケシンスケさんは、実は最初の書籍は自費出版でした。

 ヨシタケさんは、自分のイラストを人に褒められ、スケッチ集を自費出版したところ「たまたま手に取ってくれた雑誌編集者からイラストの仕事をいただき、絵本の出版につながった」とインタビューにて語っています。 

 シンデレラのようにつかんだ商業出版のチケット。

その後、『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)を出版、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位に輝きました。

 このように、自費出版した本が大ヒットしないまでも、そこから注目されて声がかかる場合もあるようです。

 

「ヒットの法則」を覆す自費出版

 

「持ち込み原稿」という言葉も近年は聞かれなくなりました。
作家志望の人が出版社に原稿を送り、編集者の目に留まって「この原稿は魅力的だ、ぜひうちの会社から出版しよう」――といった流れが、少し前まではあったかもしれません。

しかし、出版不況のいま。出版社は「魅力的な本」だけ作ればよいわけではないのです。ですから、原稿を持ち込んで断られるのは、素人の書いたものはレベルが低いから……という理由ではありません。

出版社は書籍を売るため、読者の母数の大きい企画を考えます。
みなさんも、帯やキャッチコピー、電車内広告などで書籍を売り込んでいる様子を目にしているかと思います。いわば「ヒットの法則」に従って、売れる本を作ることに必死なのです。

その中で、先に述べた「B型自分の説明書」「氷の華」やヨシタケシンスケさんの作品は、編集者が思いつかなかった企画です。

著者自らが考え出し、プロの干渉を受けなかったことがヒットの一因でもあるのです。
必ずしも出版社が考える「ヒットの法則」に従わなくともよいのです。
かつての「持ち込み原稿」が担っていた役割は、いまや「自費出版」が担っているのかもしれません。

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