「書き上げた作品を本にしたい!」と決意したとき、最初に起こすアクションは「出版社への応募」だと考える人もいるでしょう。しかし、何の準備もせずに出版を持ちかけても、出版社から良い返事がもらえず困ってしまうケースは多いのです。
自分の作品を出版するためには、出版企画書の作成が欠かせません。ここでは、出版企画書とは何か、その必要性や出版社に響く出版企画書の書き方についてご紹介していきます。「過去に出版企画書を作ろうとしたが、上手く書くことができなかった」と悩んでいる方にも、参考になるはずです。
出版企画書とは、本を出版するにあたり、作者から出版社の担当者へ渡す企画書のことです。出版にかかわらず、別の業種でも営業や企画に携わったことのある人なら、商品やサービスについての企画書を作成した経験を持つ人もいることでしょう。自分が売り込もうとする商品やプロジェクトについて取引先へわかりやすく概要を説明し、ほかにはないメリットを提示して、企画をスムーズに進めるために必要な書類となります。
出版企画書は、出版社が経費を負担して全国の書店などの流通に乗せる「商業出版」では必須のものとなります。出版社への持ち込みで初心者がやりがちなのが、いきなり数百ページにわたる作品を持ち込み、その場で全部読んでもらおうとすることです。「まずは読んでみてほしい」という意気込みは素晴らしいのですが、その作品の意図がどういった点になるかを読み解くのは、短い時間では難しいものです。
まず作品についてのイメージや想定する読者などを提示して「出版に値する作品かどうか」を端的に理解してもらうことが大切です。そのために出版企画書があります。出版できるかできないかを大きく左右することがあります。
商業出版で企画書が必須なのはもちろんですが、経費を自分で負担して本にする自費出版でも、出版企画書があることで、自分がどのような本にしたいと考えているか、希望する形や要望を伝える際にも、出版企画書を作成することで、出版社へ自分の思いがより伝わりやすくなるのです。
マニアックなジャンルだけでなく、一般的な内容の作品であったとしても、自分の思いを正確に伝えたいなら、出版企画書でわかりやすく提示することをお勧めします。出版企画書の大切さについて、ご理解いただけたでしょうか。
「出版企画書が大切なことはわかったけど、どうやって書いたらいいかわからない」「以前企画書を作ったけど通らなかった」といった方のために、出版企画書の具体的な書き方についてもご紹介します。
出版企画書には、特に決まったフォーマットはありませんが、提示するべき項目はある程度決まっています。一般的な出版企画書に書くべき項目には、以下のようなものがあります。
本のタイトル
原稿を考えることに注力していると忘れがちですが、最初に読者の目に入るタイトルはとても重要です。キャッチーで意外性がありつつ、作品で言いたいことや雰囲気がイメージできるタイトルをつけましょう。
著者プロフィール
ペンネームなどの著者名と、自己の経歴を記載します。履歴書のように細かく書く必要はなく、これまでの実績や肩書など、実体験の中からピックアップして、目を引くようなプロフィールを記載します。作品に説得力が出るような経験があれば、それを書いてみるのもお勧めです。「こんな経歴、経験を持つ人が書いたものなら読んでみたい」と思ってもらえるプロフィールが理想です。
作品の概要
あらかじめ考えておいたコンセプトに基づいて、作品の概要を記載します。細かなストーリーを書くのではなく、文学作品かライトノベルか、ハウツー本やノンフィクション・推理小説・短編・長編など、ジャンルやカテゴリー、およそのページ数や掲載する作品の数といった情報を記載します。
企画の主旨、想定する読者像
なぜ作品を書こうと思ったか、どのようなことを訴えたいのか、といった点を説明します。編集者を納得させ興味を持たせる主旨であることが望ましいでしょう。併せて、作品を読みたいと思うと想定される読者層についても説明します。また、同ジャンルの他作品とどのような点が異なるか、斬新な部分はどこか、といった点にも言及しましょう。
「団塊ジュニア世代の中高年層が読みたいと思う恋愛小説」「閉塞感やストレスといったマイナスのイメージをスカッと解消する痛快SF作品」など、わかりやすい特徴を記すのがポイントです。企画書の要となる部分ですので、じっくりと考えて記載しましょう。
販売促進協力の提案
「SNSのフォロワー数が〇千人」「運営しているブログのPVが1日あたり数千」など、独自に宣伝、PRできるSNSアカウントやメディアを持っている場合、強力なアピールポイントになります。出版した場合、自らも宣伝に協力し、何部販売に貢献できると予想するかまで記載しましょう。
目次
上記の企画コンセプトを用意してから、初めて作品の目次作りに取り掛かります。章ごとのタイトルだけでなく、プロットのような筋書きも記入しましょう。章の中でも、場面の展開ごとに細かく箇条書きにすると、構成がわかりやすくなります。「あらすじ」ではなく、結末までの構成がしっかりとわかるような内容にすることが大切です。
サンプル原稿
目次ができたら、その中のいくつかの章について、実際に書いた原稿を添付します。「ここだけはどうしても読んでほしい」と思うところを選び、1,000文字程度で3~4つ提出しましょう。
その他(判型、価格、希望部数、印税など)
過去に出版経験があったり、発行部数や価格に対して強い希望があったりするなら、企画書へ記載しても良いでしょう。ただ必須項目ではないため、よくわからないようであれば出版社へ任せてしまっても問題ありません。
項目ごとにフォントを大きくして太字にしたり、適度に改行を入れたりするなど、企画書が読みやすくなる工夫もしましょう。イメージ画像やイラスト、図表なども入れるとより見やすくなります。書き間違いや項目の漏れがないかを最後にチェックすることも大切です。完成した翌日にもう一度自分で読み直し、自分自身が納得できるかどうかも確認するようにしましょう。
いかがでしょうか。「出版企画書の書き方」ということでさまざまな事項を書きましたが、必ずしもすべて埋まっていないといけないということではありません。「編集者に自分の企画を見てほしい!」という心意気が重要です。まずは自分なりに作成した出版企画書を出版社へ応募してみてください。
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