コラム

芥川賞・直木賞受賞作、一挙紹介!!**

 

2018年1月16日(火)に日本文学振興会が第158回、芥川賞・直木賞を発表しました。

毎年注目を集める文学賞の2つ。今回のコラムでは今年の受賞作品を一挙紹介します!

 

 

【芥川賞受賞作品】

 

純文学作品に贈られる芥川賞。

 

今年の受賞者は以下2作品です。

 

・石井遊佳さんの「百年泥」(新潮 11月号)

1963年、大阪府枚方市生まれ。さまざまな職業を経たのち、東京大学大学院で仏教を学んだ。現在は夫とともにインド・チェンナイに住み、日本語教師を務めている。今回、芥川賞の候補作となった「百年泥」は、昨年、新潮新人賞を受けたデビュー作。

 

「百年泥」は自らの思いとは反し、チェンナイで日本語教師をすることになった女性が100年に一度という洪水に遭う。そして濁流に流され、積み重なった泥から現れたものにまつわる出来事を追体験する、という不思議な味わいの作品です。

 

 

・若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」(文藝 冬号)

1954年、岩手県遠野市生まれ、千葉県在住。岩手大学卒業後、結婚して上京。主婦をしながら小説学校に通う。本作で昨年、文芸賞を受賞し小説家デビューしたばかり。

 

受賞作、「おらおらでひとりいぐも」は、15年前に夫が亡くなり、子どもも家を出て一人暮らしをする74歳の主婦桃子さんが主人公。孤独と衰えを前向きにありのままとらえ、老年だからこその自由さを描いています。自分の中からわき出る複数の思考を、岩手弁で重層的に繰り出すように語り、地の文では標準語を使ったメリハリのある文体で、積極的に生きる主人公の姿勢がテンポ良く展開しています。題名は宮沢賢治の詩「永訣の朝」の一節と同じですが、意味は逆で「私は私で独り生きていく」という気持ちを込めたそうです。

 

 

【直木賞受賞作品】

 

大衆文学に贈られる直木賞。今年の受賞作品は以下の1作品です。

 

・門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」(講談社)

1971年、群馬県生まれ。同志社大卒。大学職員として働いた後、2003年にオール読物推理小説新人賞を受け、06年に「天才たちの値段」でデビュー。評論「マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代」で日本推理作家協会賞、「東京帝大叡古(えーこ)教授」「家康、江戸を建てる」で直木賞候補に挙がっていました。

 

受賞作、「銀河鉄道の父」は、国民的作家、宮沢賢治とその家族の生涯を、父政次郎の視点から書いています。岩手・花巻で質屋を営む政次郎は、明治生まれの父親らしく厳しくあろうとする一方、夢を追い続ける賢治を隠しきれない愛情で支えていました。天才だが、社会的能力に欠ける子を愛憎の念を持って育てるという、現代の父親にも通じる思いを描き出しています。

 

芥川賞を受賞した石井さんと若竹さんはともにデビュー作で受賞をするというシンデレラストーリーを駆け上がるなど、今年もドラマがあった芥川賞と直木賞。

何か読みたいけど、良い本ないかな~と迷っている方はぜひ、読んでみてはいかがでしょうか。

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