自費出版をしたいと考えて原稿を出版社に持込み、デビューを果たすまでにどのような過程を踏むのでしょうか。
それは著者によりさまざまですが、非常に大きな労力を要することは違いありません。さらに出版費用をかける以上、基本的な出版までの過程や、注意しておくべきポイントなどが分からないと不安なものです。
そこで今回は、自費出版初心者さんのために『原稿応募・持込み~作家デビューまでにやるべきこと』をまとめました。
出版社に問い合わせるのは初めて。編集者にうまく質問・相談できるか不安。家族にどうやって説明したらいいか分からない・・・!といった不安を解消していきましょう。
・原稿をチェック 原稿の文字数、枚数、状態を確認します。原稿の文字数が分かることで、書籍にした場合約何ページに達するのかボリュームが分かり、出版のイメージがしやすくなります。出版費用が知りたい方は、これをしておくと見積もりが早くもらえます。
文字数が分からない場合は、枚数を参考にしてください。約●字で●枚分くらい・・・という風に、ざっくりとした文字数を計算するだけでも良いでしょう。
・原稿の状態を確認 誤字脱字だらけ、出典が不明確な部分が多い・・・といった原稿は、なるべく整えた状態に直しましょう。大幅な加筆修正を要する原稿だと見なされた場合、編集担当の作業量が増えるため、出版費用も高く見積もられてしまいます。
また、古い原稿は手書きの文字がかすれていたり、原稿用紙自体が痛んでいます。達筆で読めないものもあります。原稿をデータ化していたとしても、古いワープロデータに対して出版社が対応していない場合もあります。
その場合、自分でデータを復元するか、もしくは復元してもらえるのか相談しましょう。こちらも状況によっては工数と費用が変わってきます。
・原稿量の確認 原稿応募・持込みしたもので、本当に1冊の書籍を作ることができるのか。文字が多すぎたり少なすぎたりしていないか。修正が必要な場合は、どれくらいの量で、どれだけ工数をかけるのか確認します。
また、強い思入れのある原稿は、文章を削ったり誰かに手をつけられたくないと感じてしまうもの。契約後に大幅な修正が決定しトラブルにならないよう確認し、どの程度修正すべきか冷静に判断しましょう。
・発行部数 希望発行部数を伝え、出版社側が勧める部数も確認します。発行部数は著者の出版目的、書籍のジャンルや内容によって異なります。
過剰に発行し大量の在庫が発生してしまう、売れる可能性があるにも関わらず少部数しか発行せずチャンスを逃してしまう・・・といった事態は避けたいものです。
・書籍の仕様 判型(四六判、A5、A4、新書判、その他)、製本(並製、上製)、本文カラー(1色、2色、フルカラー)、ページ数、単行本か新書かなどの仕様を決めます。
こちらは実物の書籍を手に取りながら決めていくと、イメージがつきやすくスムーズです。出版社に見本を用意してもらいましょう。専門的な言葉が分からなければ都度質問をし、疑問を解消していきましょう。
・出版費用 出版目的を伝えておき、複数パターンの費用を掲示してもらいましょう。最安値、出版社が勧める費用、もっと費用をかけたらどのようなことが出来るかを確認します。
最安値だけを確認して契約してしまうと、後でいろいろな要望が出てきても依頼することができません。費用をかけることでどのくらい可能性が広がるのか、費用感を掴んでおくことでトラブルを未然に防ぐことが出来ます。
・費用を安くしたいとき 出版費用の内訳には、原稿整理、校正、組版、印刷、製本、用紙、デザイン、編集、管理費など様々な費用が含まれています。
希望の出版費用より高くついてしまった場合には、このような内訳の中からどの部分を削ることができるのか相談しましょう。また、費用に余裕があれば、強化した方が良いところを相談します。
・取次を通して委託配本できるか 取次経由なら全国の書店に効率的に配本できるため、より多くの書店に本を置いてもらえる可能性があります。取次大手の“日販”や“トーハン”と取引があるのか確認しましょう。
・販売書店と配本地域 規模の大きい書店に配本できるか、希望地域への配本は可能か、書店の納本場所(人目につかない店内の奥まった場所に押し込まれていないか、きちんと商業出版書籍と一緒に並ぶかなど)を確認します。
また、ただ取次まかせにしたりせず、書店への営業活動を行っているのかも聞いてみましょう。
・在庫の管理方法 出版社によっては、在庫の保管方法や期間が異なります。必ず確認しておきましょう。
・売れ行きが良かった場合の重版条件、決定権とかかる費用(著者と出版社のどちらに帰属するのか)
ここまでが確認しておくべき基本事項です。著者の出版目的や原稿の状態、相談をする出版社によってはさらに細かい確認作業が必要かもしれませんが、最低限このような事項は明らかにしましょう。
著者・出版社ともに確認が不十分になってしまうと、後々トラブルを引き起こします。
問い合わせ前にきちんと理解しておけば、相談もスムーズになるはずです。ぜひ覚えておいてください。
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