前回は書籍の見た目を左右するサイズとカバーの種類について学びましたが、次は書籍に使用する紙について学びましょう。
紙は非常にたくさんの種類があるため、まずは一般的な印刷物において使用される種類について覚えましょう。
■上質紙
コピー用紙として使用されている紙のほとんどは上質紙になります。紙の表面には特に加工をしていないため、ざらざらとした質感です。白色度が高く文字の印刷には適していますが、書籍にはあまり使用しません。一応比較対象として知っておきましょう。
■コート紙
ほとんどの書籍カバーに使用されているのがコート紙です。上質紙や中性紙の表面にコート材をつけ、滑らかな質感に仕上げています。他にも新聞の折込チラシ、カタログ、カレンダーといったカラー印刷に使用されており、用途のとおり発色の良い紙でフルカラー印刷に適しています。
また、コート紙をさらに上質に見せるため表面を加工する、PP加工という方法があります。これは紙の表面に、光沢感やマットなものなど好みの質感のフィルムを貼り付けることで、より質の高い紙に仕上げる作業です。見た目はもちろん、紙の日焼けや汚れにも強くなります。
■アート紙
こちらは名称のとおり、アート関連の印刷物に使用されることの多い用紙です。なめらかで光沢が強くコート紙よりも発色が良いため、一般的には高級紙として認識されています。こだわりの写真や絵画などを載せた書籍を出版するのであれば、こうした用紙があることも知っておきましょう。
用紙は他にもたくさんありますが、すべて覚える必要はありません。自費出版書籍の用紙を決める比較対象として、上記の種類について把握しておけば大丈夫です。
次に、書籍の各パーツについて知りましょう。これまでは書籍の一部分について説明してきましたが、それらを含む書籍の全体像を見てみましょう。
■カバー
カバーの種類については前回説明していますが、ここで改めてその役割について見てみましょう。中身を汚れや日焼けから守ることはもちろん、書籍の顔としての役割を持つため、読者の心に届く印象的なデザインや文言を載せる必要があります。裏面には価格やISBNコードなどの商品情報も載っています。
著者としては、書籍の内容はもちろんですが、カバーは特にこだわりたいパーツです。カバーに載せるタイトル名はたくさんの候補の中から編集者と吟味して決定し、デザインは人気書籍を手がけたデザイナーに依頼することが理想的ですね。出版費用が懸念されるところですが、ここで妥協してしまうと、書籍を手にとって貰うことすらできません。売れる書籍を出版したいのであれば、カバーに予算を割く可能性があることは認識しておきましょう。
■帯
カバーだけでは伝えることのできない書籍の魅力を、キャッチコピーなどにして帯に載せ、書籍に巻きつけています。サイズやデザインは自由に選ぶことができます。他の書籍との差別化にも使えるため、書店に流通させる場合は帯をつけることが理想的です。
■見返し
表紙と本文をつなげる役目をする用紙です。文字は入れません。
■トビラ
見返しの次に出てくるページです。タイトルと著者名を入れます。
■中表紙
中表紙を入れている文芸書はあまり多くはありませんが、書籍によっては入れる場合もあります。
■本文
名称のとおり、本文が載った書籍の中身を指します。
以上、さまざまな名称が出てきましたが、全て記憶しなくても構いません。書籍がどのように出来ているのか、ざっくりとしたイメージだけでも掴んでおきましょう。
自費出版をする上でこうした用語は必ず出てくるため、知っておくことで作業をスムーズに進められます。
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