近年、社会の高齢化や団塊世代の大量退職によって、余生を楽しもうとするアクティブシニアが増えています。
自分たちの、その余生をどのように過ごすか。そしてどんな最期を向かえたいのか。理想的なかたちで人生を終えるために考え活動する、いわゆる『終活』が話題になっていますね。
アクティブシニアのニーズに合わせ、終活フェアやイベント、終活カウンセラーという役割を持つ人が登場したり、相続整理や遺言状の作成、墓地や葬式の案内をするなど、終活を掲げたサービスが急増しています。
そんな終活ブームの中で少しずつ話題になっているのが、人生の最期に本を出版する『終活出版』。これまでの人生を振り返って文章にまとめてみたり、書き溜めた日記やアルバムを整理するなどして、1冊の本として出版する人が増えています。
今回は、そんな『終活出版』についてピックアップします。
終活出版を手がける矢口氏(幻冬舎ルネッサンス編集長)は、人が本を出版する理由について、以下のように語っています。
―― 歴史上の偉人も、どれだけ富裕な人も、これまで死から逃れることができた人間は一人として存在しません。人は生まれてから、確実に死に向かって時間を過ごしています。その不安や恐怖を払拭するために自分の生きた痕跡を本として残す。過去の多くの作家たちも作品に自らの想いを託し、それらは後世に受け継がれています。
つまり、死から逃れることの出来ない自分を救済するために、人は本を出版するのだという考えです。
もう少し平たく言うと、
「自身の生きた証を残したい」
「知識や経験を後世に伝えたい」
「大切な家族にメッセージを残したい」
こうした願望を叶えて自分を救済するために、終活出版があると言えます。
もしもあなたが終活出版をしたいならば、まず「自分はなぜ出版したいのか」「終活出版をすることで何を果たしたいのか」を考えてみましょう。明確な理由があれば、きっと誰でも動き出せるはずです。
考えが固まったら、実際に出版するための行動に移しましょう。
終活出版を始めるには、まず以下について書き出してみます。
自伝、闘病記、詩・エッセイなど、本には様々なジャンルがありますね。書きたいと思うもの、書くためのエピソードがたくさんあるものを選びましょう。
作品を通じて何を伝えたいかを考えます。例えば、家族や友人への感謝の気持ち、自然の恵みに対する喜び、社会問題に対する提言など。何かを伝えたいという強い気持ちがあれば、どんなテーマでも構いません。
作品が出来上がったら、それをどうするのかも忘れず書き出しておきましょう。
家族や知人に配りたいのであれば、原稿の公正や本の装丁にそこまで手間隙かける必要はないでしょう。発行も少部数になりますね。
逆に、「1人でも多くの人に読んでほしい」といった場合は、自分で配ったり販売したり、出版社から書店に流通させる方法もあります。いわゆる『自費出版』という方法で実現できます。
以上3つを書き出せたら、原稿執筆に取り掛かりましょう。
原稿の書き方は、こちらのコラムも参考にされてください。
「自分史出版講座」 「闘病記出版講座」
終活出版のよくある悩みとして、著者が高齢であり「残された時間で原稿を書き上げられるのか」というものがあります。原稿に取り掛かる時期が遅かったために、執筆途中で気力・体力が持たず、校了を断念してしまうのでは・・・と不安になる人も多いようですね。
そうした問題が起きないよう、原稿執筆に書ける時間や原稿のボリューム、万が一の事があった際は、その後の終活出版を誰にどうやって進めてもらうのか、事前に決めておく必要がありますね。
まずは執筆時間と原稿ボリュームですが、出来るだけ少ない労力で書き上げられるように計画しましょう。終活には自分史やエッセイ、詩、短編小説などがオススメです。ビジネスや実用書を出版したいのであれば、ページ数が少ない新書での出版が望ましいです。
事前にジャンルと必要なページ数・文字数を確認し、かかる時間を想定しておけば書き終わらない・・・といった問題は回避できるはずです。
終活の原稿を執筆する際は、出来る限り参考資料を集めた状態で始めましょう。日記は原稿のたたき台として活用できますし、当時の写真や手紙も役立ちます。情報が少なければ、家族や知人にインタビューをしたり、祖先を辿って調べてみるのも面白いですね。
どうしても原稿を書けない、考えをまとめるのが苦手であれば、終活用のエンディングノートを活用してみても良いでしょう。書店で購入できるほか、最近では終活イベント・サービスの一環として配布されています。エンディングノートに従って思い出の整理をしたり、家族へのメッセージなどをまとめ、それを土台にして詳細を肉付けしていくとスムーズに書き進められます。
また、原稿執筆の途中や出版後に万が一の事があった場合、誰になにを依頼するのか予め決めておきましょう。原稿を書き上げられなかった場合、家族が引き継いだり出版社にライターを紹介してもらって書き進める、といった事ができます。終活出版後の権利や印税についても、家族に引き継ぐことが出来るのかを確認しておくようにします。
以上のように、終活出版とはどういうものか、必要な準備やよくある悩みはどういったものがあるのかを知っておくことで、誰でも安心してチャレンジする事が出来ますね。人生最期の大切な時間、それを“一生残る本づくり”に充ててみてはいかがでしょうか。
幻冬舎ルネッサンス新社では、本を作る楽しみを自費出版という形でお手伝いしております。
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