前回は出版流通の仕組み、なぜ返品というシステムがあるのか、そしてそれをどう防ぐのかについてお伝えしました。
今回は、「実際に返品された本はどうなるのか?」「再販の可能性はあるのか?」を考えていきましょう。
返品が決定した本は、販売元の出版社に返品されます。その後の対応は出版社によって異なりますが、断裁して処分する、倉庫に一定期間保管する、在庫がすべて売れるまで倉庫に保管し続ける・・・といった対応に分かれます。
自費出版本の場合も同様です。倉庫に保管しない、保管する期間が限られている、ずっと保管してもらえる等、対応はさまざまです。契約時に返品された書籍はどうなるのかをきちんと確認する必要があります。
出版社は毎日取次を通じて全国の書店と出荷のやり取りをしているため、いったん流通を開始すれば、正確な在庫数をすぐに確認したり、本が保管されている倉庫を見せてもらうといった事は難しくなります。
後々トラブルにならないためにも、そうした仕組みを理解し、信頼できる出版社から流通させる必要がありますね。
では、「返品された本はもう二度と店頭に並ばないのか」という不安が沸いてくるかとは思いますが、並ぶ可能性は十分にあります。書店で欠品状態の本を購入したい場合、読者は書店経由で出版社に注文を依頼することができるからです。
基本的には1冊単位での注文が多いですが、場合によっては数十冊まとめて注文が入ります。その理由としては、面白い・役に立つ本だったから、親族や知人に配りたい、研修の参考書として使いたい、社員に配って読ませたい・・・など。
特にビジネス書・実用書に多いケースで、それらは予め想定していたターゲットであれば、誰でも活用することができる汎用性があるからです。
本を話題化させて1冊でも多く読者に読んでほしいのであれば、発売と同時に広告やパブリシティ戦略を行う事が理想的ですが、発売から数年経過して再び話題化する場合もあることをご存知でしょうか。
例えば、以下のような本が挙げられます。
・戦争をテーマにしたもの
・歴史上の人物にフォーカスしたもの
・偉人について取り上げたもの
・現代の社会問題に関すること
戦争をテーマにした本は、『終戦記念日』や『○周年』といったタイミングで再び関心が高まり、注文が入る可能性があります。2015年は太平洋戦争70周年にあたり、2年前に発売した幻冬舎ルネッサンス新書『中国が沖縄を奪う日』を初めとした多くの戦争関連本が売れました。
歴史上の人気人物は、明智光秀、上杉謙信、沖田総司など・・・歴史マニアであれば誰でも知っている人物にスポットをあて、当時の状況を詳しく記した歴史考察や、人物の魅力に迫った内容などが人気ですね。歴史上の人物は大河ドラマなどメディアで定期的に取り上げられるため、場合によっては一気に注目を集められるチャンスがあります。
偉人に関する本は、歴史上の人気人物と同様に、その人物のファンや関連する事柄について興味・関心がある人の注目を集めることができますね。人気の偉人はもちろんですが、まだ大衆に知られていない人物の魅力に着目する面白さもありますね。
現代の社会問題は、戦争などの普遍的なテーマに対し、より近代的で身近な問題にフォーカスしたものです。例えば、うつ病やいじめ、自殺、家族崩壊など。近年は常にこれらに関連する事件の報道や専門家による考察、ドキュメンタリー番組などが制作されています。社会の注目を集めている分競合する書籍も多くなりますが、出版後も定期的に売れる可能性のあるテーマと言えるのではないでしょうか。
以上はごく一部ではありますが、テーマ選びを工夫することで本の注文数を伸ばす事ができる可能性があります。売れる本の出版を目指す方は、ぜひ意識してみてくださいね。
幻冬舎ルネッサンス新社では、本を作る楽しみを自費出版という形でお手伝いしております。
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