人気芸人の又吉直樹さんの小説『火花』が最大のインパクトとなった2015年の出版界。映像化が決まる作品等による華やかな話題以外に、ネットと書店の流通制度問題や雑誌の落ち込みなど、私たちのライフスタイルの変化に合わせて変革が求められる出版業界の様子がよりリアルに感じられる1年だったのではないでしょうか。
今回のコラムでは、そんな2015年のベストセラーランキングから、今最も売れる書籍の傾向と、その背景となる読者心理を探ってみたいと思います。
あなたの2015年お気に入りの一冊はランキング入りしていますか?
「2015年 年間ベストセラー」※日販、トーハン発表
1位はやはり『火花』。芥川賞発表後約20日で145万部の増刷が決定し、累計245万部に至りました。電子書籍も13万ダウンロードを超え、徐々に電子書籍が浸透していることを実感させる結果となりました。
昨年はこの『火花』の話題があまりに大きかったため、2位以下のベストセラー作品の印象が例年よりも弱くなりがちですが、近年表れていた傾向がよりはっきりとした年でした。
それが、「女性シニア著者の活躍」です。
75歳を超えた女性の著書が、総合ランキング10位以内になんと4冊も入っているのです。
元NHKアナウンサーの下重暁子さん(79)が、「家族の期待は最悪のプレッシャー」「夫婦でも理解し合えることはない」などと説く『家族という病』(幻冬舎新書)は、55万5,000部に達しました。
『一〇三歳になってわかったこと』(幻冬舎、50万部)の篠田桃紅さんは102歳。ロングセラー『置かれた場所で咲きなさい』(同)のノートルダム清心学園理事長、渡辺和子さんは88歳。歯切れがいい『人間の分際』(幻冬舎新書)の作家、曽野綾子さんは84歳です。
これらの書籍購入層は、中高年が際立っており、超高齢化社会に向かう日本がここにも表れていますが、さすがにベストセラーとなる書籍は20代含む幅広い世代に受け入れられています。
各タイトルには複雑な人間関係、様々なプレッシャーのもと生きる私たちを解放してくれるようなメッセージ性のあるタイトルが目立ちます。
女性シニア層しか持ちえない豊富な経験から生まれるメッセージに多くの共感が広がっている様子を見てとることができます。
7万点を超える新刊が毎年刊行されるなか、「売れる」書籍を生み出すのは簡単ではありませんが、みなさんが「書きたいメッセージ」と、「今、世代を超えて求められているメッセージ」が重なる可能性は十分あります。
私たちの不安を払しょくしてくれる、勇気をくれるメッセージというのは、今も昔も変わらないのかもしれません。
<参考>2015年総合ランキングTOP20
(14年11月27日から15年11月26日まで、日販調べ)
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