皆さんが好きな本の表紙はなんですか?
本好きの方なら、誰でもぱっと思い浮かぶ表紙があると思います。
その時、「なぜこの表紙が好きなのか」考えたことはありますか?デザインが素敵だから、好きな装丁家やイラストレーターが関わっているから、何となく目に止まったから…等々、理由は人によって様々です。
『絶対に売れる本の表紙デザイン』というものはありませんが、それでも人気書籍の表紙からは『売れているヒミツ』が分かります。
そこで今回は、表紙が売上に貢献しているのでは?と想定されるいくつかの人気書籍を事例に、売れる表紙デザインのポイントを見ていきましょう。
(出典:KADOKAWA)
“ビリギャル”の愛称でお馴染みの『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著)。
2015年間ベストセラー11位、2015年上半期邦画実写映画で興行収入第1位を記録するなど話題が尽きないビリギャルです。
表紙は“もしドラ”『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海・著)で知られる装丁家の萩原弦一郎さんが担当しています。
本にしては長いタイトルが印象的ですが、そのタイトルから想定される本のイメージを表紙で上手に表現していることがポイントではないでしょうか。
ビリギャルは発売当時、表紙の女性は著者でなくモデルを起用していたことで騒がれていましたが、イメージを作りこむことで、「美人なギャルが辛い環境下で一念発起し、難関校に合格する」というドラマチックなストーリーを表現しています。
通常、ノンフィクション作品は登場人物本人が顔出しすることで、内容の信憑性を高めることがセオリーです。しかし、ビリギャルのような事例もある事から、必ずしも顔出しする必要性はなくなってきているようですね。
次はこちら。イラストに注目してみてください。
左は『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉・著)、右は『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦・著)です。
どちらも、イラストレーターの中村祐介さんが表紙を担当しています。ロックバンドのASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットを手掛けていることで有名です。
中村さんは男性ですが、女性的とも思わせるノスタルジックなイラストが特徴的で、先述したロックバンドの人気も手伝い、主に若年層から人気を得ています。
彼のような人気イラストレーターにデザインを依頼し、魅力的な表紙に仕上げてもらうのも一業ですね。
ただし、文字だけの表紙や風景などを描いた表紙に比べ、人間を描いたイラストは本のイメージを大きく左右します。イラストレーターを起用する場合、その人のファンはどんな人たちなのか。性別や年齢などの属性を確認するようにしましょう。
どれだけ起用したいイラストレーターがいても、本の内容とかけ離れた表紙に仕上げてはいけません。
以上、2作品の表紙を紹介しました。
次回へ続きます。
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