みなさんは図書館を利用していますか。
気になる本があれば手軽に借りられるので、とても便利ですよね。
無料で本を読むことができるこのシステムですが、出版業界からは問題視する声もあがってきています。
本記事を通じて、図書館と出版社の関係性について一緒に考えてみましょう。
人気の書籍は予約件数が多いため貸出を長期間待たされることも珍しくありません。
例えば又吉直樹さんの『火花』は、2015年8月時点の文京区小石川図書館での貸出待ちが1200人、時間にして約2年待ちという大人気ぶり。
本好きとしては喜ばしいニュースである一方、出版社にとっては大きな危機になる可能性もあります。
というのも、本来なら購買者になるはずだった方が図書館へ流れていくことで、書籍の売上げが減少してしまうからです。
したがって、人気の書籍であればあるほど、売り上げへの図書館の影響は大きいと言えます。
こうした事態を、出版社側はどのように受け止めているのでしょう。
2015年11月に横浜で行われた図書館総合展において、新潮社の佐藤隆信社長は「売れる本を貸し出しでぐるぐるまわされてしまうと、少し出版全般が痛んでしまうという構造にあることをご理解いただきたい」と発言しました。
また、図書館が書籍売上げ減少の一因であるとして、著者と出版社の合意がある一部の新刊に限り、1年間の貸し出し猶予を図書館に求める動きも出ています。
もちろん、あくまでも出版社から図書館へ向けた「お願い」であるため、強制力はありません。
ところで、なぜ今になって図書館と出版社の関係が問題視されているのでしょうか。
一因としては、技術の進歩とそれに伴うコンテンツの多様化が挙げられます。
試し読みサービスやあらすじの紹介動画など、様々なコンテンツが台頭するなかで、書籍は「お金を出してまで手に入れたいもの」ではなくなってしまったのかもしれません。
とはいえ、作家にとって──もちろん出版社にとっても──書籍の売上げは重要です。
今後、電子書籍の普及や新たなコンテンツの登場に伴い、書籍をめぐる問題はますます大きくなっていくのではないでしょうか。
図書館と出版社、書籍を愛する二者が納得しあう答えは見つかるのか、今後も要注目のテーマと言えるでしょう。
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