コラム

春、新生活にさみしさを覚えたら読む本3選**

 この春、新しい生活を始めた方も多いのではないでしょうか。
進学、就職、そしてそれを機にお引越しされた方も。

 そんな「出会い」の季節ではありますが、「出会い」には「別れ」がつきものです。
家族や友人と離れて暮らしたり、よく遊んでいた友人達となかなか会えなくなったり。また、そんなあなたを送る家族や友人も、同じ思いをしていることでしょう。

 そんな、ちょっぴりさみしい思いをしているあなたに、読んでほしい物語があります。
当たり前だった、周りの温かさ。
いつの間にか忘れてしまったその思いをじんわりと感じることができる、そんなお話たちです。

 

『青空のむこう』(アレックス・シアラー・著、金原瑞人・訳)

 

「ぼく、まだこの世にやり残したことがあるんだ。」
突然、事故で死んでしまった少年ハリー。
しかし彼は、死んだと自覚するといけるという「彼方の青い世界」に行けなかった。
ハリーには、「やり残したこと」があったのだった。
彼が「やり残したこと」とは。
彼は「彼方の青い世界」にいけるのか。

 当たり前だけど、とても大切なことを思い出させてくれる、そんな一冊です。

 

『凍りのクジラ』(辻村深月・著)

 

理帆子は高校生ながらも達観しているような子で、いつも人を見下していた。
そんな彼女はある日、一人の青年に出会う。
「写真を撮らせてほしい」
始めは戸惑う理帆子であったが、段々と、新しい彼女の内面も照らし出されていく。
そして彼女の周りも変わってきて......。

 読み終えるときっと、昨日より自分を、人を好きになっている。
そんな一冊です。

 

『暗いところで待ち合わせ』(乙一・著)

 

駅のホームで殺人事件が起きた。
そしてその犯人として追われるアキヒロが逃げ込んだ家には、盲目の女性、ミチルが一人寂しく暮らしていた。
ミチルに気づかれないよう身をひそめるアキヒロ。
一方アキヒロの存在を徐々に感じ始めたミチルは、恐怖から気づかないふりをする。
そして始まる「ひとりぼっち」同士の奇妙な生活。

 誰かがいることの温かさを教えてくれる、そんな一冊です。

 

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