頭のなかにはすでに名場面が出来上がっているのに、それを思いどおり言葉にできないのは歯がゆいですよね。
そこで重要になるのが語彙力です。
持っている語彙の幅が、そのまま生み出すことのできる作品の幅になると言っても過言ではありません。
今回ご紹介するのは、語彙力を上げる簡単な二つのトレーニングです。
作品を執筆したい方はもちろん、トークスキルを磨きたい方もぜひご参考になさってください。
語彙力を身に付けようとして、無理に辞書にあたる必要はありません。
むしろ「生きた言葉」として実際に使用されている現場に立ち会わなければ、言葉を使いこなすことは難しいでしょう。
したがって、会話や読書は語彙力を増やすうえで非常に有効です。
とはいえ会話の場合、例えば同じ学校・職場にいる人間同士では、環境が似通っている分、使う言葉にもそこまでの違いは出ないでしょう。
日ごろ親しんでいるのとは異なる言葉に触れる機会を設けるという点で、読書のほうが語彙力の向上には効果的です。
しかし残念ながら、ただ本を読んでいるだけでは語彙力は上がりません。
というのも、ほとんどの方は知らない言葉を見ても読み飛ばしてしまうからです。
こうした読み飛ばしは、音読をすることで一定以上防ぐことができます。
意味を知らない言葉は、音読をするときその読み方、アクセントで必ず迷いが生じます。
読んでいるときに詰まってしまったら、半ば罰ゲームのつもりで調べる。
こうした習慣をつけることで、語彙力向上のための勉強をゲームのように楽しむことができます。
しかもこの方法であれば、わざわざ新しい本を買わなくても、以前ちらっと流し読みをしてしまった本を「教材」にすることができます。
喉が枯れてしまわない程度に、少しずつ読み進めて調べていきましょう。
読書を通じて生きた言葉に触れられたら、それを実際に使用することで、より実感のこもった語彙として獲得しましょう。
とはいえそのためには、覚えたばかりの語彙を無理やりにでも引っ張り出すような体験が必要です。
そこで有効となるのが「実況中継」です。
すなわち、テレビで目にする台風中継やスポーツ中継のように、目の前の光景を事細かに言語化するということです。
試しに、いまご自身に見えている景色を言語化してみましょう。
見慣れた自宅のリビング、通勤途中の駅のホーム、公園の噴水など、どのような景色でも実況のネタになります。
まずは使用するキーワードを4, 5個ほど思い浮かべます。
このとき、最近覚えたばかりの言葉を意識して含みこむができればなお良いでしょう。
キーワードが決まったら、その言葉を必ず使うというルールで、できるかぎり克明に目の前の光景を頭のなかで言語化してみましょう。
止まっているものだけでなく、細かな動きや変化に注目することが重要です。
「自転車が目の前を走っていく」だけではなく、ペダルやチェーンの動き、タイヤの回転まで詳細に目を向けましょう。
タイヤの中央から放射線状に伸びているあの線は、回っているとき不思議な模様のように見える……と考えたとき、あの「放射線状の線」の名前を知らないことに思い至るかもしれません(ちなみに「スポーク」といいます)。
いつでもどこでも、暇さえあればできるのがこの練習法の利点です。
よく観察してみれば、自分が名前を知らずに過ごしてきたモノ・コトでこの世界があふれていることに気付くはずです。
新たな世界との出会いは、創作のモチベーションにも必ず繋がることでしょう。
以上、語彙力を上げる方法を二つご紹介しました。
すぐに実践できるものばかりなので、今日このコラムをお読みになった瞬間から、どんどん語彙力を積み上げていきましょう!
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