2017年4月11日、今年度の本屋大賞が発表されました。
大賞作品は恩田陸著の『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎刊)です。なんと直木賞とのダブル受賞!
テレビのニュースなどで目にした方も多いのではないでしょうか。
作家として名を上げているだけでなく、有名な賞を二つも受賞。
こう聞くと、特に小説家を志す人は、才能にあふれていて自分とは違うと思ってしまうかもしれません。
とはいえ、高名な作家も皆さんと同じ人間です。はじめから順風満帆の作家人生ではなく、紆余曲折を経て今の立場があります。
ということで今回は、本屋大賞受賞作家の経歴を振り返り、小説家になるためのヒントを探ってみましょう。
まずは先ほども触れた恩田陸さんですが、小説家を専業としたのは社会人を経験してからしばらく経ってのことでした。
早稲田大学教育学部を卒業後、生命保険会社に勤めた恩田さんは、2年後に入院。
激務に追われてのことだったようです。
その頃、酒見賢一の『後宮小説』がきっかけで作家活動を開始。
しかし変わらず仕事は忙しく、入社してから4年で職場を退職します。
のちに書き上げた『六番目の小夜子』がデビュー作品となりますが、恩田さんは不動産会社に再就職。
しばらくは作家とOLの二足のわらじを履いていました。
専業作家になったのはデビューから6年後のことです。
恩田さんのように、社会人経験を長く積んでから作家になるというケースは決して珍しくありません。
次にご紹介するのは2016年度に本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』(文藝春秋刊)の著者、宮下奈都さんです。
宮下さんも上智大学文学部を卒業したのち、会社勤めをしていました。
その頃は特に小説を書いていたわけではなく、本格的な執筆活動をはじめたのは結婚後3人目のお子さんを妊娠されているときだったそうです。
完成した作品が文學界新人賞の佳作に選ばれ、作家デビューを果たします。
宮下さんも恩田さんと同様、早くから執筆を重ねてきたわけではありません。
ですが家族で北海道へ山村留学に行くなど、豊富な経験を経て、それが作品にも生かされています。
すべての小説家が若いうちから大成しているのではありません。
さまざまな経験こそが作品の質を深めます。
もし今、小説を書いてみたい!と思いつつも一歩踏み出せない方がいたら、ぜひ挑戦してみてください。
何かをはじめるのに遅すぎるということはありません。
今まで歩んできた人生が、きっと執筆の助けとなることでしょう。
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