忙しい毎日を過ごすなかで疲れ果て、もうこれ以上頑張れないと思うことはありませんか。
このままがむしゃらに歩き続けて幸せになれるのだろうか、自分はどのように生きるべきだろうか、と考え込んだり、思い悩んだりするときもあるでしょう。
そんな方々におすすめしたいのが「アーミッシュ」という人々を題材にした小説です。
作品を通じて、彼ら彼女らの生き方から、自分本来の生き方を取り戻すきっかけになるかもしれません。
「アーミッシュ」とはアメリカやカナダに20万人ほどいると言われる、ドイツ系移民を主とした宗教集団のことです。
移民当時の生活様式を重んじ、昔ながらの生活を大切にしています。
移動は馬車を使い、電気はほとんど使いません。
また、食料は基本的に自給自足で、野菜などの農作物やキルトなどの工芸品を販売し、必要最低限の収入を得ています。
「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」という彼らの生活ルールは非常にシンプルです。
彼らは、人間には利便性・生産性・効率よりも大事なことがあると考えています。
それは、宗教的なものも含む自らのアイデンティティです。
アーミッシュ共同体には「聖書以外の書籍を読まない」「讃美歌以外の音楽を聴かない」等の厳しい戒律が存在します。
純粋なキリスト教者であるために何が必要か──彼らの思想の根にあるのはこの一事のみであり、多種多様な戒律はあくまでそれを実現するための具体策に過ぎません。
聖書以外の書籍や讃美歌以外の音楽は、彼らにとって必要がないのです。
その意味でアーミッシュの暮らしぶりは、2010年代から海外を発信地として流行した「ミニマリスト」のそれに近いと言えるかもしれません。
自らが自らであるための最小限のもので暮らし、余計な物事に心を煩わされない。
多くのモノに囲まれ忙しく生きているとき、ふと虚しさを感じたのなら、あなたはアーミッシュから何かを学ぶかもしれません。
アーミッシュの暮らしに関心を持たれた方々のために、彼ら彼女らの生活を深く理解できる書籍をご紹介します。
ミルドレッド・ジョーダン著 池田 智 訳『アーミッシュに生まれてよかった』(評論社、1992年)
アーミッシュの少女ケティが、非アーミッシュの友人たちの生活を知ることで、心揺れ動く様子が描かれています。
やがてケティは自らがアーミッシュであることに誇りを持ち、本物のアーミッシュになることを決意します。
アイビーン・ワイマン 著 瓜生 知寿子 訳 中村 悦子 絵『カレジの決断』(偕成社、1998年)
ペンシルバニア州の美しい自然やあたたかい家族に囲まれて育った少女カレジは、大人になるにつれ、アーミッシュのしきたりに疑問をもちはじめます。
「アーミッシュの教えと、自分の気持ち、どちらにしたがえばいいのだろう」という少女の心の迷いを描いた作品です。
「シンプルに生きること」──なかなか難しいことかもしれませんが、アーミッシュの生活をヒントに、自分の生き方を模索してみるのもいいでしょう。
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