ドラマ化する作品やベストセラーとなる作品、名著と呼ばれる作品など、世の中には多大な評価を受けた書籍が数多く存在します。自分で執筆しようと思ったとき、どうしたらそのような作品を書けるのか、いま構想にある物語は売れないのではないか、と不安になることもあるでしょう。なにを書けばいいのかわからない、という声は多く耳にしますが、作品は作家の知識や経験を基に作られるということを忘れてはなりません。
『吾輩は猫である』は言わずと知れた夏目漱石の処女作品です。「吾輩は猫である。名前はまだない。」という書き出しで始まる本作品は、映画化やドラマ化、アニメ化、漫画化された歴史に残る名作となっています。中学校の英語教師、珍野苦沙弥が飼う猫(吾輩)の視点でユーモラスに描かれていますが、実はこの猫のモデルは漱石の家に住み着いた野良猫であり、それゆえに名前がないのです。
また、珍野苦沙弥のモデルは夏目漱石自身だと言われております。作品が面白い、読みやすいと評価されたルーツは、彼自身の経験や考え、周囲の発言に基づいているからこそでた物語のリアルさなのかもしれません。
太宰治や森鴎外、近年では『ホームレス中学生』の田村裕さんなど、作品に自分を人生や経験、関係者を投影している作家はたくさんいます。
とはいえ自分の経験でなにが書けるのだろう。多くの方はそう思うことでしょう。いまさら高校や大学合格に向けた受験勉強の辛さを鮮明に覚えている人は多くありません。人の記憶には限界があります、経験したことは覚えていても何を感じて何を思ったのかは大抵の人が忘れてしまうのです。ただ、作品を制作するときは、自分の記憶がとても重要となります。現実世界で感じたことを描けば、当然読者もリアルに感じる物語となるからです。
よって、自分の経験を忘れずに保存することが必要になります。ケータイのメモ帳でデータとして残す、毎日日記を書く、メモ帳を持ち歩くなど、自分に合った方法を見つけ気づきを保存する癖をつけましょう。そうすることで、書くときに思い悩んだ時や、登場人物のネタに限界が出てきたときなどに大きな助力となる武器を獲得することができるのです。
書きたいことが自分の経験にないことであることもあります。例えばSF小説を書きたいのであれば、大量のSF映画を見る、最先端技術を勉強する、といった取り組みで自ら経験値を稼ぎ、作品に活かしましょう。
共通して大切なことは、自分の経験の中から書けるものを考え、作品制作することが名作を生みだす第一歩ということです。
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