皆さまは書店に行かれた際にどのようにして、書店に本が並んでいるのか疑問に思われたことはないでしょうか?出版社から書店に直接本を置いてもらうのではなく、取次を通して全国の書店に配られることとなっています。それが従来からの一般的な形だったのですが、昨今では出版社と書店の直取引が注目され始めています。出版界が変化しつつある現状を少しのぞいてみましょう。
そもそも出版界はどのような構造をしているのかをおさらいしましょう。以下の図は、作家から書店までの流れを表しています。
出典:http://zoweb.hatenablog.com/entry/2014/10/25/170825
売り物を書籍として、出版社⇒取次⇒書店と流れるところ、一般的な小売店、例えば売り物を野菜に置き換えて考えると農家⇒物流⇒スーパーマーケットという順序と同じです。
また独自の制度として「再販制」と「委託販売制」があります。
<再販制度>
出版社が書籍・雑誌の定価を決定し、小売書店等で定価販売ができる制度です。独占禁止法は、再販売価格の拘束を禁止していますが、1953年の独占禁止法の改正により著作物再販制度が認められています。
<委託販売制度>
書店が仕入れて売れ残った書籍を返本できる制度のことで、書店が発売元から預かった書籍を店頭で販売し、発売元に売れた分の売上代金と売れなかった書籍(商品)を戻すという仕組みです。書店や取次が仕入れた書籍は、買い切り商品ではなく、預かり(委託)商品だということです。販売元の立場から見れば、新刊配本した書籍や書店からの注文は、出品したにすぎず、実際に売れたわけではありません。
つまり、この二つの制度により全国の書店に最新刊から数年前刊行の少し古い本まで、同じ価格で安定して在庫にある状態を維持できるのです。
委託販売制度により、書店から出版社へ返本する際も取次が間に入ります。取次が各出版社から全国の大きな書店から小さな書店まで何冊送るか、そして何冊戻すか、冊単位での調整をするという実に細かな役割を担っています。
最近ではアマゾンが出版社と直取引を開始したことが出版界では大きな話題となりました。なぜ大きな話題になったか、それは取次を介す出版社は全体で70%を占めており、長らくその形態が続いていたからです。
出版社として取次を通すメリットはやはり全国の書店へほぼ一律で安定して書籍を流通させられる点と、書籍の売掛金回収を行ってくれる点です。
一方、取次を通さないメリットは取次がとる手数料がかからない分、利益がより分配される点、書店のマージンを高く設定し、書店により多く置いてもらえる点などが挙げられます。
しかし、取次が担う書店への配本管理、返本管理など大量の伝票に見舞われるため、書店側からすると多くの出版社と直取引すると管理しきれないところも出てきてしまう最大の懸念事項があります。
実は海外市場では取次はなく、最初から出版社と書店が直取引している状況です。よって各地で置いてある書籍も異なり、価格も異なります。
アマゾンの参入により、そう遠くない将来に直取引の時代がやってくると国内でも言われています。
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