文章を読んだり書いたりする際に、文字の書体を気にしたことはありますか?
実は書体の数は、和文用のものだけでも現在約3000種類にも及び、欧文用のものも含めるとその倍を上回るバリエーションが存在します。
それぞれの特徴を押さえることで、最適な書体を選択することができます。
本コラムではそのように数ある書体のなかから、明朝体についてご紹介します。
百聞は一見に如かずということで、早速「明朝体」と呼ばれる書体を見てみましょう。
以下の文字で使われているのが明朝体(正確には「ヒラギノ明朝」という書体)です。
(出典:http://www.akibatec.net/wabunfont/study/category/category.html)
明朝体のもつ大きな特徴が「線の太さ」と「うろこの存在」です。
上の実例を見てもお分かりいただけるとおり、明朝体は横線よりも縦線の方が太くデザインされています。
この点は、縦横全ての線がほぼ同じ太さに揃えられている「ゴシック体」と対照的です。
またさらに注目すると、線の右端に出っ張りがあることに気づくでしょう。
この飾りを「うろこ」と呼びます。
(出典:http://www.kimoto-sbd.co.jp/original/font/font.html)
「線の太さ」と「うろこの存在」という二つの特徴は、明朝体が筆文字の楷書を原型にデザインされた書体であることを考えると納得がいくはずです。
すなわち、線の太さは筆の角度を、うろこは墨が溜まった部分を表しているのです。
明朝体はこのように、日本人に馴染みの深い筆のテイストを活かすことで、高い可読性を実現しているのです。
明朝体は読みやすい書体であるため、新聞や教科書などの長文で頻繁に使用されています。
そのため、文章に「権威的」「歴史的」、あるいは「モダン」「品格」といった印象を持たせるために用いられることが多いです(『デザイン入門教室[特別講義] 確かな力を身に付けられる ~学び、考え、作る授業~』(2015年、SBクリエイティブ)より)。
ここで実際に、フォントを変えることで全く違った雰囲気になる例を見てみましょう。
2016年に大ヒットした映画「君の名は。」の題字には、「A1明朝」という書体が使われています。
映画にぴったりの、爽やかでスタイリッシュな印象の書体ですよね。
情報サイト「GLUE」の掲載記事「あの大ヒット映画のタイトルフォントを調べてみた。」では、この文字を他の書体に変えるとどのような印象になるか検証しています。
ぜひそれぞれのバージョンを見比べ、書体による印象の変化を楽しんでみてください。
最後に、本コラムでご紹介した内容をおさらいしましょう。
・明朝体は筆文字のテイストを活かした、線の強弱、うろこと呼ばれる飾りが特徴的な書体である。
・高い可読性を誇るため、新聞等の長文でよく使われる。そのため、主にフォーマルな印象を与える。
・書体が変われば文章そのものの印象もがらりと変わってしまう。真に表現にこだわるのであれば、書体にも注意を向けるべきである。
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