本好きな人が最も悩むことの一つに「文庫化」を待つか、最新の「単行本」で買うかという選択があるのではないでしょうか。文庫と単行本ではサイズも値段も全然違います。
「早く読みたいけど、値段が高いから文庫化を待つ」といった人も多いと思います。
そんな読者たちの要望に応えるかのように、最近ではいきなり文庫で出版されるケースも少なくありません。
今回は多くの人を悩ませる「文庫化」について考えてみましょう。
文庫と単行本の違いについて、改めて整理してみましょう。
1、持ち運びやすさ
文庫は148×105mmで別名A6判と呼ばれるサイズ、単行本は188×128mmで別名四六判と呼ばれるサイズです。鞄に入りやすく、かさばりませんし、片手で開けるサイズですから、持ち運びやすさは文庫本にあるといえるでしょう。
電車などで文庫を読む方を見かけることも多いです。
2、保存性
ハードカバーの単行本であれば、表紙が固く保存性が高いため、単行本の方が丈夫といえます。
先ほど持ち運びやすさは文庫にあるといいましたが、保存性の観点でいうと、中身を傷つけたくない人にとっては単行本を望む人もいるかもしれません。
3、読みやすさ
ここも個人的な好みはあると思いますが、文字のないページの余白部分が多い単行本の方が読みやすいでしょう。文庫本のほうが、文字が詰まっている印象を受けやすいです。
また単行本にはスピンと呼ばれるヒモがついています。新潮文庫など一部ではスピンのついた文庫がりますが、基本的に文庫にスピンはありません。
少しずつ読み進めていく方にとっては、しおりを使わずに済むので単行本に利点があるといえるでしょう。
4、視認性
書店では文庫より単行本のほうが目立ちます。
これは純粋に面積的に大きいからという意味合いはもちろんありますが、面積だけでなくデザインの点でも幅が違うからです。
文庫はレーベルで型が決まっているパターンがほとんどですが、単行本はカバー、中身の紙質から、色合いも様々です。
書棚に刺さっている本を選ぶときも、背幅の広い単行本では文字フォントや大きさの工夫の幅が広いのです。
通常は1~2年と、最近は速まってきているのが現状です。ただ、すべての書籍が文庫化されるわけではありません。また、いきなり文庫で出版されるケースが多くなってきています。先ほど触れたように文庫は型が決まっている分、早く制作し、安く提供できる点で最初から文庫で出す戦略もあるようです。
ただ、安く提供するということは書籍一冊あたりの利益が減るということです。出版社はもちろん書店へのマージンや作家への印税も減ります。いきなり文庫で出すかどうかの見極めは重要なところです。
しかし、文庫化することで、作品が再度書店で展開されます。作品に知名度を上げるのであれば、単行本⇒文庫の流れは、作家としては望むところです。書下ろしやデザインの点で差を設けることもできます。
文庫化している作品を見かけたら、単行本バージョンもチェックしてみてはいかがでしょうか。
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