読者の心を掴む魅力的な自分史を執筆するには、一定の困難がつきまといます。
多少なりとも執筆経験をお持ちの方は、すでによくご存じのことかと思います。
自分史として一冊の書籍にまとめるのではなくとも、例えばいま「あなたのことを、原稿用紙2枚にまとめてください」と言われたらどうしますか?
書き始めるための糸口を見つけるだけでも一苦労ですよね。
ただ書くだけでも難しい自分史というジャンルで、どうすれば読者の心をつかむことができるでしょうか。
「何を書くのか」「どう書くのか」「どう展開させるか」という三つのポイントに分けて、自分史の書き方をご紹介します。
「自分史」にはこれまでの半生をすべて盛り込めるわけではありません。
まずは書くべきエピソードを選び取り、積み上げる作業が必要です。
そこで有効なのが、ご自身の半生をまとめた年表の作成です。
人生のイベントを時系列でまとめるなかで、ぜひ書いておきたいと感じる、目玉となるようなエピソードが浮かんでくるはずです。
軸となるエピソードが決まったら、そのとき何が起きたのか、周囲の方は何と言い、それに対してあなたは何と返したのか、何を考えていたのかなど、具体的に書き出してみましょう。
また、学校の成績や部活動の試合のスコアなど、一見すると些細なデータたちも、エピソードのリアリティーを補強する重要な材料になります。
ここまで情報が集められれば、何を書けばいいのかさえ分からなかったころに比べて、徐々に肉付けができてきたと感じられたのではないでしょうか。
さらに、こうした体験があなたの人生にどのような影響を与えたのか掘り下げることができれば、読者もより関心を持ってくれることでしょう。
いくらあなたにとって印象深い経験でも、読者に伝わらなければ意味がありません。
読者の心を揺さぶるには、事実を書き連ねるだけでは不十分で、読者の「五感」に訴えかける必要があります。
例として「匂い」を取り上げてみます。
久しぶりに実家に帰省したとき、実家の匂いを嗅いで「ああ帰ってきたな」と思った経験は、どなたにもあるかと思います。
そこでの「匂い」はどう表現できるでしょうか。
畳のイグサの香り? 漂う仏壇の線香の匂い?
具体的に書けば書くほど、読者がもっている感覚との結びつきがより濃いものになっていきます。
読者の鼻の奥に実家の空気がありありと感じられたそのとき、読者自身の懐かしい記憶が呼び起こされます。
このとき、あなたの体験はもはやあなただけの体験ではなく、読者にとっても重要なものとして価値を帯びます。
五感に訴える表現を通じて、読者の共感を誘うよう意識しましょう。
各エピソードが充実してきたら、全体の並べ方や展開も考えてみましょう。
最もオーソドックスな手法は時系列順でエピソードを配置する方法ですが、場合によっては単調になってしまいます。
では、時系列を無視してはいかがでしょうか。
例えば、最も印象深い出来事を最初に置くほうが効果的なこともあります。
ビジネス書でしばしば見かける「最初に結論を提示する」という手法と似ているかもしれません。
軸となる出来事を冒頭に持ち出すことで、統一感のある作品に仕上がるという利点があります。
また、現在から書き始めるのも良いかもしれません。
「今」に至る道筋を辿りながらひとつひとつの出来事を解き明かすような展開にできれば、読者はミステリー作品に接しているときのような興奮をもって、最後まで読んでくれるのではないでしょうか。
自分史を書くために①適切な題材の選択、②効果的な表現方法、③各エピソードの配置が重要であるとご紹介しました。
渾身の作品を読者に手に取ってもらえるよう、ポイントを押さえつつ完成を目指しましょう。
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