書店にはさまざまな書籍が陳列されています。
出版後、自分の本がどのように書店に並ぶのか気になりますよね。
書店での書籍の並べ方によって、読者の目に止まるかどうかは大きく変わります。
出版社はこうした陳列方法も考慮に入れ、書籍販促のためあれこれ考えを巡らせています。
そこで本コラムでは、書籍の陳列方法や、書店販促の基本などをご紹介します。
一般的に、本の陳列方法は2種類に分かれます。
すなわち「棚差し」と「平積み」です。
それぞれの方法について、以下でご説明します。
棚差し
棚に入れ、背表紙だけが見えるよう並べる方法です(「背差し」とも呼ぶ)。
棚差しの場合、表紙や帯を確認するには棚から出して手に取ってみる必要があります。
表紙や帯には書籍の情報の多くが詰まっており、これが見えないことは大きなデメリットといえます。
この方法で陳列されるのは、小部数で入荷の少ない本です。
出版社としても初めから棚差しになることは避けたいため、書籍は通常、一書店あたり複数配本するのが普通です。
平積み
棚差しに対して、表紙を上にしてよく見えるように本を並べる方法です(「平置き」とも呼ぶ)。
棚差しに比べ表紙や帯を目立たせることができ、新刊や注目度の高い本、ベストセラーがよくこの方法で並べられます。
また、書店内でも最も目立つ場所に陳列されるため、棚差しの本よりも手に取ってもらえる可能性が高くなります。
本の置き方一つとっても、そこには書籍をより多くの方に届けるための販売戦略が隠されているのです。
出版社が主導で実施している販促活動には、企業によって違いがあります。
たとえば大手出版社の場合、刊行点数が多いため、すべての本を満遍なく宣伝することはできません。
そのため、まず初めに書店での売れ行きを確認したうえで、売れる本に狙いを絞って販促を行う傾向にあります。
一方、出版数の少ない中・小出版社は、すべての本に販促を行うことが可能です。
したがって、営業担当者が直接書店へ出向き、一冊一冊販促を行うこともできます。
販促にはいくつかの方法があります。
本コラムでご紹介できるのはごく一部ですが、覚えておいて損はないでしょう。
(※なお、著者の方ご自身で、いわゆる「飛び込み営業」を書店にかける際のポイントについては、弊社コラム「本屋に飛び込み営業したら、自分の本を置いてもらえるの?」をご参照ください)
①仕掛け販売をおこなう
「仕掛け販売」とは、店頭に本を大量に積みあげることで読者にアピールする施策です。
大型プロモーションや広告と連動させ、大規模な販促になることが多くなります。
書店では本そのものの情報よりも、メディアへの露出や広告、通販サイトの予約数などが影響してきます。
「Amazonランキングで〇位!」「〇〇のブックコーナーで紹介されました!」等の文言が大きく表示されている広告をよく見かけるのは、こうした情報が高い宣伝効果を持つからです。
その意味で、当然のことではありますが、書籍販売は書店だけで完結するものではないといえます。
②先行販売の展開
正式な発売前に一部の書店で先行販売を行い、売れ行きをチェックします。
通常、正式な発売の1週間前に実施されることが多く、大きな話題づくりになります。
うまく波に乗れば、書店から追加で注文が入ったり、発売前から売れ行きを見込んで増刷することも可能です。
③書店員さんに協力してもらう
シンプルな手法ではありますが、書店員さんに書籍の魅力をプレゼンすることで、プロモーションに協力してもらうということもできます。
運が良ければ手書きポップを作成して宣伝してもらえたり、販促の手法について意見を伺うことができます。
特に地方色が強い本の場合、地元の書店員さんの協力は強力な味方です。
新聞広告などに書店員さんのコメントが載ることで、地域読者へのPR効果も高まり、他の地元書店での販促展開も強化しやすくなるというメリットがあります。
書籍販売も、結局は人と人との結びつきが重要なんですね。
本コラムでは、書籍の陳列方法と各種プロモーションについてご紹介しました。
書籍を目立たせ、より多くの方に手に取っていただくために、さまざまな戦略が講じられています。
ご紹介した種々の販促方法は、どれか一つが万能というわけではありません。
だからこそ、出版社は様々な手法を模索し、書籍販売のため日夜努力を続けています。
著者の方の力作をより多くの方に届けるため、そして読者の方々に喜んでいただくため、プロモーション活動は欠かすことができない重要業務なのです。
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