コラム

本に関わる仕事にはどんなものがあるの?**

 

一冊の書籍をつくるために、どれほど多くの人員が関わっているのか考えてみたことはあるでしょうか。

著者の方が執筆した原稿が、専門家の手から手へと受け継がれることで書籍として世に出る──こうした道のりを知ることで、書籍への愛着はさらに深まることでしょう。

そこで本コラムでは、本づくりの各工程と、そこで関わる担当者について解説いたします。

本の内容だけでなく、それを支える出版業・印刷業の努力にも目を向けていただけますと光栄です。

 

編集者(ときどきライター)

 

原稿に最初に目を通す、言わば「最初の読者」が編集者です。

編集者は、著者の方のご意見・ご要望をヒアリングしながら、どのような書籍をどのような読者に届けたいか具体化してくれます。

ヒアリングした内容を整理することで、書籍の企画検討、出版部数の打ち合わせなど、より良い書籍づくりのために戦略をたてます。

 

もちろん、筆が止まってしまった著者の方には、執筆についてのアドバイスもおこないます。

どうしても執筆が難しいという場合には、ライターを起用することもあります。

この場合は、電話や対面で3~5回程度の取材をおこない、それを元に企画内容も踏まえてライターが原稿を作ります。

著者の方ご自身の執筆ではないからこそ、意向に反していないかのチェックは入念に行っています。

 

ブックデザイナー(ときどきカメラマン)

 

「本の顔」である装丁デザインは、ブックデザイナーがおこないます。

表紙・カバー・帯・見返しなど、書籍の外装に関わるこの仕事は、魅力的な本をつくるうえで非常に重要です。

 

装丁デザインの目的は、あくまでも作品のイメージや内容を伝えること。

そのためただ目立てばいいわけではなく、本文に合った色・フォント・レイアウトを選ぶ必要があります。

したがってブックデザイナーには、書籍の読解力も求められるのです。

 

また、表紙に写真を入れたいときには、やはりプロのカメラマンに任せるのが理想です。

経験豊富なカメラマンは、作家の魅力を引き出し、書籍にこれ以上ないほど相応しい写真を撮影してくれます。

 

書店では、ほとんどの書籍が中身まで読まれることはありません。

ブックデザイナーやカメラマンの手で、見た目にも鮮やかな書籍にすることで、手に取っていただける機会がうんと増えるのです。

 

校正者、校閲者

 

校正と校閲は、本文の内容チェックに携わるプロフェッショナルです。

 

校正が元原稿と印刷物を照合することで間違いを見つけるのに対して、校閲は、事実関係や社会通念上の問題がないかの、調査をおこないます。

ごく簡単に言ってしまえば、校正者は原稿の「中」を見て間違いを確認し、校閲者は原稿の「外」を見て間違いを確認するといえます。

それぞれが自らの役割を発揮することで、事実に対し正確で、著者の意向を忠実に反映した書籍が完成するのです。

 

(※校正・校閲の詳細につきましては、弊社コラム「似ているようで全く違う! 校閲・校正それぞれの役割と重要性」をご一読ください)

 

印刷会社

 

ここまでの工程で原稿が完成し、書籍のデザインも確定しました。

書籍づくりに必要な材料が揃ったので、実際に形に仕上げていきます。

 

組版の作成と面付け

原稿を書くときにwordやその他のエディタアプリを使う方も多いかと思いますが、当然そのままのレイアウトでは書籍にできませんよね。

そこでまず「組版」と呼ばれる作業で図版や文字を読みやすく配置し、実際の書籍ページの形に仕上げていきます。

印刷時には1枚の紙に複数のページを配置し、それを折って重ねて製本する「面付け」という手法を用います。

 

刷版の作成

面付けされたデータが完成したら、印刷機に直接取りつける刷版というアルミ板をつくっていきます。

色校正や白焼き校正を経て進められるこの工程では、色バランスの崩れや刷り位置の間違いを細かくチェックすることが必要です。

 

印刷・製本

できあがった刷版を印刷機に取りつけ、ようやく印刷へと進みます。

ここで完成した「刷本」と呼ばれる印刷物を折って閉じ合わせ、最後に表紙をつけて製本されます。

 

膨大な作業を要する印刷・製本では当然、各工程に高い専門技術を持った担当者が携っているのです。

 

まとめ

 

最後に、本コラムでご紹介した内容をおさらいしましょう。

・書籍づくりには大きく分けて「編集者」「デザイナー」「校正・校閲」「印刷会社」の四つの専門家が関わっている。

・それぞれが自身の能力を活かすことで、正しい情報を読みやすく伝える、著者の意向を忠実に反映した書籍が完成する。

・「ライター」や「カメラマン」など、より充実した内容にするためにかかわる関係者も含めると、その数はさらに膨大となる。

 

出版における各工程を分解すると、著者を除いても最低10人ほどかかわっている実情が見えてくるかと思います。

本づくりはその一冊一冊が、多くのプロフェッショナルに支えられて成立する一大プロジェクトなのです。

 

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