「小説家」という言葉の意味を調べてみると、「継続的に小説作品の著述・発表を行っている者」(Wikipedia)、「小説を書くことを職業としている人」(デジタル大辞泉)とあります。
ほとんどの方は後者の意味の「小説家」、すなわち書籍の印税や、メディアコンテンツへの掲載料で生活を成り立たせることを目指しているはず。
本コラムではそうした、生業としての「小説家」を目指す皆さんに、小説家になるための方法をいくつかご紹介します。
一般的に、小説家としてデビューするには以下のようなルートがあります。
以下ではこれらのルートについて詳しくご紹介します。
こうした方法でのデビューが、おそらく最も多くの方が想像するであろう「小説家になる」ルートであり、かつ最難関のルートです。
著名な賞ほど作品の精度(構成力や表現力、時代性等を含む)が求められるため、そのための鍛錬が必要となります。
また、賞やコンテストの選考の下読みは、担当者が単独で行うことも多く、選者の好みも大きく影響するため、運も味方につける必要があります。
➂や➃の方法は、現在若年層に流行している方法で、投稿サイトやSNSの評判から書籍・アニメ化することもあります。
ただし誰にでも投稿できるプラットフォームである以上、投稿される作品数も膨大であり、その中から話題に上るのはほんの一握りです。
そのため、ここからデビューを目指すのであれば、作品の知名度を上げるための自己プロデュース力を作家自身も養う必要があります。
➄の方法は、作家としてデビューするための最短の方法です。
費用さえ用意できれば、基本的には誰でも作品を世に送り出すことができます。
「自分の表現を今すぐ形にして人に届けたい!」という方におすすめの方法です。
作品づくりの目標も作家が自由に設定できます。
「売れること」に重点を置く方もいれば「自分の表現を追求すること」に重点を置く方もいます。
評判になればドラマ化されたり、商業作家に転向したりと、次のチャンスにつながる例もあります。
次章ではこの「自費出版」について、もう少し詳しくご紹介しましょう。
本章では前章でご紹介した「自費出版」について、具体例を交えながらお話しします。
「自費出版なんてどうせ売れないんじゃない?」と思われる方も、以下のタイトルはご存じなのではないでしょうか。
実はすべて「自費出版」からベストセラーになった作品です。
このほかにも、自費出版で刊行された作品が特番ドラマの原案となる例があります。
自費出版はさまざまな可能性を秘めているのです。
作品が売れればもちろん印税も入りますし、ヒットをきっかけに知名度が上がれば職業小説家としての活動に繋がる場合もあります。
自費出版とは、自らの可能性を自らの手で広げる方法だということです。
ひとくちに「自費出版」といっても、出版社によって業態はさまざまです。
個人的な作品づくりへのお手伝いを主とするところもあれば、作品のプロモーションにまで力を入れ、市場流通に耐えうる作品づくりを請け負うところもあります。
「自費出版」を考える際は、自身の目的に合わせた出版社選びをすることが重要です。
ここまで、小説家への道筋を簡単にご紹介しました。
しかし、それでも「小説を書いてみたいけど、自分の文章がどうしたらよくなるのかわからない」「どうしたら小説家として売れっこになれるだろう」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。
本章ではそのような疑問にお答えします。
まず、文章表現力を伸ばすには、「ひたすら読んで、ひたすら書く」しかありません。
受賞作やベストセラー作品をたくさん読んで分析し、模索してみるという方法も効果的でしょうし、また、友人や知人に作品を読んでもらって率直な感想を聞き、参考にするというのもよい方法かもしれません。
専門学校やシナリオスクールに通うといった方法もあります。
ここまでは努力しただけ着実に成果が実る段階だともいえるでしょう。
ただし「売れっこになれるかどうか」という疑問には、正直なところ誰も答えることができません。
もちろん、市場のトレンドを分析し、購買層を意識して作品を書くことは、小説家として売れる可能性を広げることに効果的です。
もっといえば、小説家として生計を立てていくことを目指すなら、時代の流れを敏感に捉えることは必要不可欠なスキルです。
とはいえ、まずは自分の書きたいものを思いきり書く、というのが表現者の本懐でしょうし、よくできた作品だから売れるとも限りません。
編集者が「これは面白い!」と太鼓判をおした作品が大外れだったということもままあります。
逆を言えば、持ち込みで見向きもされなかった作品が、のちに別の出版社から刊行され、ベストセラーになることもあるのです。
実際に作品が売れるかどうか、作家として売れるかどうかは、実際に世に出してみないとわからないということです。
しかしだからこそ、どんな作品でも「世に出す価値」があるともいえます。
お手元の原稿は、もしかすると未来のベストセラーかもしれません。
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