本づくりは決して簡単な作業ではありません。企画構成から実際に文章を書きあげるまで、いくつものプロセスと、多大な労力がかかります。
しかし、内容を書きあげただけで満足してしまうのは少し考えもの。自費出版などのケースでは、著者がまだ無名であることも多いので、読者が本を買うかどうかを、事実上「表紙のデザイン」だけで決めます。現在はインターネットを利用して宣伝することも多いですが、表紙の仕上がりが良ければ、口コミで広まって人気が出る可能性も高くなります。ぜひしっかり表紙にも工夫を凝らしましょう。
ここでは、本の表紙のデザインにこだわるべき3つのポイントについてご紹介します。
本は多くの情報が凝縮されていることがメリットですが、逆に、一見しただけでは「どんな内容が書かれているのか」がわかりづらいという面があります。ネット書店ならば商品説明を加えて紹介することもできますが、リアル書店ではなかなかそうもいきません。また、どのような形態の書店にせよ、莫大な数の本が存在するため、まず商品説明を読んでもらえるということも難しいでしょう。商品説明を少しでも読んでもらうためにも、表紙がとても大切なのです。
本の表紙で重要なのは、「その本にはどんな内容が書かれているのか」がわかる表紙にするということです。ただやみくもに表紙を派手にしたり、他の本と異なるようにしたりしても効果がありません。なぜならあくまで読者は最終的に「内容」で本を購入するからです。表紙が内容とかけ離れていれば、「面白い表紙だな」とは思われても、購入まではしてもらえません。つまり、オリジナリティはありながらも、本の内容に見合った表紙にすることがとても大切なのです。
一番参考になるのは、あなたの好きな本です。その表紙をチェックしてみて、どういった工夫がされているかをよく調べてみると勉強になります。あるいは、毎年「日本ブックデザイン賞」というコンテストが開催されているので、その選考結果などを参考にするのもよいでしょう。
日本ブックデザイン賞-The Japan Book Design Award
現在はほとんどの新刊の書籍に「帯」があります。読むときは邪魔になって捨ててしまう人も多いかもしれませんが、帯は広告面、表紙のデザイン面の、2つの面からとても重要なものになります。
「帯」の広告面の工夫
本のキャッチコピーをしっかり目立たせるために「帯」を活用できます。
キャッチコピーを考えるポイントは、「ターゲットを明確にすること」です。一体どのような人に向けて伝えるのかを決めることで、キャッチコピーがある程度絞られてくるはずです。誰にでも興味を持ってもらおうと欲張ると、逆に、誰にも見てもらえないものです。極端に言えば一人に向けて考えるくらいが、多くの人々に刺さるキャッチコピーになります。
「帯」のデザイン面の工夫
お客さんが書店で一冊の本を眺める時間は、ほとんど一瞬です。その一瞬だけで手に取ってもらうためには、単に表紙のデザインだけではなく、帯も含めたデザインをしっかり考えましょう。実際に書店に行き、どのような帯デザインがあるか観察してみるのがおすすめです。帯の色合いや配色は表紙と異なっているものの、本の表紙と一体化させるような図や写真にしているパターンが人気です。また新書などではカバーをほとんど覆ってしまうほど大きなデザインにしていることもあります。
続いて表紙でこだわるべきポイントは、書店に置かれたときのことをしっかりイメージすることです。他の本と並べられるときに目に留まりやすいか、きちんと目立っているかをよくチェックしてみましょう。リアル書店だけではなく、ネット書店でも同じです。自分だけで考えずに他の人の意見も聞いてみるのがおすすめです。
また、単に「目立つか」だけではなく、「記憶に残りやすいか」も併せて考えましょう。本に興味を示しても、色々な事情からそのときには購入しないケースもあります。そのようなときに、たとえば「赤かった」とか「中央のイラストが印象的だった」とか「真ん中辺りに書かれていた文章が印象的だった」とか、「どういった本だったか」がしっかり思い出せるようなデザインを心がけると、数日後に購入してもらえる可能性が高くなります。「あとで買おう」と思うような印象を残せることも踏まえ、表紙のデザインを考えていくとよいでしょう。
今回は自費出版をする上で一番大切とも言える「表紙デザイン」のポイントを3つご紹介いたしました。
・内容を端的に伝えているデザインにする
・帯のキャッチコピーはターゲットを絞って考える
・他の本と並べられたときのことをよくイメージしながら作る
以上の3点をよく押さえて表紙のデザインを考えましょう。表紙がその本の売れゆきを左右すると言っても過言ではありません。せっかく多くの時間と手間をかけて本を完成させたのならば、プロなどにデザインを依頼するのもおすすめです。
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