「いざ執筆」と思い立ったはいいものの、執筆前の設定に疲れ果てて頓挫してしまった、というご経験はありませんか?
部屋の引き出しには、日の目を浴びることのなかった無数の設定ノートがしまいこまれている──本コラムでは、特にそんな執筆初心者の方におすすめの簡単な設定づくりのコツをご紹介します。
また、作品メッセージと設定の食い違いが生む悲劇についても解説しています。
作品の設定にお困りの方はぜひご一読ください。
執筆初心者の方であれば、シンプルに作品舞台の「いつ」「どこ」だけを考えて書くことをおすすめします。
またその際には、自分のよく知る時代・地域を題材にすると良いでしょう。
実在する見知った環境をモデルに書くことで、設定力や描写力を鍛えることができるからです。
ゆくゆくはSFやファンタジーなど、設定の難しい作品を書こうと考えていらっしゃる方も、まずは身近な世界から執筆に入門してみましょう。
では、具体的にはどのような「いつ」「どこ」が考えられるでしょうか。
例えば、著者の年代層ごとに分類すると、以下の例が考えられます。
・大学生の方
現代の大学、現代のバイト先、現代の一人暮らしのアパート
・社会人の方
現代の職場、現代の家庭、過去の学校
・ご年配の方
現代の家庭、過去の職場、昔の学校
自らの経験を下敷きに作品を書く場合、ご年配の方は執筆できる時代の範囲が広いという強みがあります。
自分史的な小説作品を書けば、描かれている年月のボリュームだけでも、作品にぐっと深みが増します。
一方で、若い方ならではの強みもあります。
若年層の言葉づかいは日々変化しており、他の世代がそうした最新の動向を作品に盛り込むことは、かなり難しいことです。
若い方ならではの視点や実感を活かした、フレッシュな作品を意識しましょう。
逆に、自分の年代に合わない作品を書くことで、設定や台詞が不自然な作品になってしまうこともしばしばあります。
改めて、まずは自分がよく知っている「いつ」「どこ」を題材にすることをおすすめします。
上でご紹介したような段階を経て、ある程度作品を書いてきた方であれば、自分の生きている環境から離れて作品を書くことができます。
その際に気をつけてほしいのが、作品のメッセージと舞台設定の相性です。
例えば皆さんが「現代の教育は子どもを甘やかすばかりで、その子のためになっていない」というメッセージで小説を書くとしましょう。
伝えたいメッセージがこのように現代に向けられているとしても、作品の舞台を現代にする必要はありません。
昔かたぎな熱血教師が生徒と真っ向からぶつかっていくという作品も、現代が舞台では「体罰」や「ハラスメント」と見なされかねません。
舞台設定は、作品のメッセージそのものを捻じ曲げてしまう危険を秘めているのです。
むしろ「昭和の学校で破天荒な教師が活躍する」という舞台設定にしたほうが、現代への問いかけとして読者に受け入れられやすくなるでしょう。
自分の伝えたいメッセージや執筆能力に合った、適切な舞台設定を心がけましょう。
設定が固まれば、作品の安定感は格段に高まるはずです。
改めて、本コラムの結論をまとめます。
・まずは自分に身近な環境をモデルに「いつどこ」の設定を決める
・ご年配の方、若年層の方、それぞれの強みを活かした舞台設定を
・設定次第で作品のメッセージは伝わりにくくなるので注意
机のなかに眠っていた設定ノートも、本コラムを参考に見返すことで息を吹き返すかもしれませんよ。
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