第1回 書き手には、書くことに必然性がある。
(『仕事にやりがいを感じている人の 働き方、考え方、生き方。』の著者によるコラムです)
今回から計3回にわたり、コラムを書かせていただくことになった。書籍の執筆中に考えたことを、思いつくまま書いていこうと思う。
2017年3月、『仕事にやりがいを感じている人の働き方、考え方、生き方。』を出版させていただいた。出版の動機については本書に詳しいので、ここでは割愛させていただくが、とにかく「書きたい」「伝えたい」という欲が先行していたように思う。しかし、いざ書こうという段になって、それが「書かねばならぬ」になり、書き始めて以降は「書かざるを得ない」に変わっていった。
本書を執筆するにあたり、10名の方に取材をさせていただいた。取材を終えて、みなさんの『働き方、考え方、生き方』を伝える義務や責任が生じたように感じた。さらには、「これは自分にしか伝えられない。書かなければならない」という使命らしきものも感じた。義務も責任も使命も、僕が勝手に感じたものである(実際は、そんなに大それたものではありません)。しかし、書くことの必然性が本書を完成に導いた、と思うのだ。
僕だけかもしれないが、文章を書いているときは、ちょっとしたトランス状態になる。「物を書く人」というラベルが貼られ(というか意識的に貼り)、それを演じながら一字一句綴っていくのが、たいへん心地よいのだ。今回はきっと、そんな陶酔状態から、責任やら使命やらの完全なる勘違いが生まれ、さらに進んで「もう、これは、書かざるを得ない!」との必然へと至ったのであろう、と自分では思っている(たぶん正しい)。
書くことに必然性がなければ、最後まで書き切ることはできなかったかもしれない。書き切れたとしても、一定のテンションを維持することはできなかったであろう。「書きたい」「伝えたい」だけだったら、本は完成しなかったようにも思う。
僕に限らず、自分の書くものが書籍となる場合は、書き手に何らかの必然性があるのではないか、と考える。「書かざるを得ない」という想いが言葉の端々に行き届き、豊穣な文章となり、一冊の本として結実する。書籍には、そんな魅力があるのかもしれない。よくわからんけど。
今、ありがたいことに、複数の方々から「次は~を書いてほしい」とのリクエストをいただく。テーマは実にさまざまである。しかし、いずれのテーマを書くにせよ、そこに僕が書く必然がなければ、いい加減なものになってしまう気がする。だから次も「書かざるを得ない」ものを、書きたいと思う。
■著者紹介
『仕事にやりがいを感じている人の 働き方、考え方、生き方。』(毛利大一郎・著)
株式会社R4 クリエイティブディレクター/ライター
1974年 愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学 第一文学部卒。2006年、企業の人材採用・教育に関わる各種サービスを展開する株式会社R4に入社。以来、数多くの求人広告・企業広告の制作に携わる他、パンフレットや映像の企画・制作、企業理念の作成・ブランディングなどを行う。2014年より同社制作部 事業部長。