第3回 それでも、新しいほうへ、行こうとする。
(『仕事にやりがいを感じている人の 働き方、考え方、生き方。』の著者によるコラムです)
早くも、最終回である。最後に拙著『仕事にやりがいを感じている人の働き方、考え方、生き方。』を執筆するにあたり、とりわけ意識したことについて書かせていただく。
あらゆるジャンルの表現が飽和状態にある云々と言われたのも一昔前の話。故に今(2017年)、「新しいことをやろう」という姿勢自体が全く新しくないし、かなりダサいとは思う。しかし、本書を執筆するにあたり僕が意識したのは、新しさである。いかなる時代においても新しさを追求することが、表現者としてのモラルであろうと僕は考えた。新しいものになる可能性は低いだろうが、それでも新しいほうへ行こうとする“志”を持つことが肝要なんじゃないか、と思ったのだ(結構マジメに考えた)。
「自分にしか書けないことを書くことが重要であり、そのオリジナリティーが新味を有するのだ」とか何とか、誰か偉い人が言っていた(との記憶あり)。偉い人に僕は問いたい。誰もが実現できる新しさに果たして価値があるんですか、と。「自分にしか書けないこと」くらい、誰もが所有していると思うわけである。
さて。
実際に新しいか新しくないかはさておき(ほぼ間違いなく「新しくない」ことは自覚しています)、具体的に導入した新しさについて紹介したい。
まずは、(1)市井の人にスポットをあてること。そして、(2)著者の考えを述べないこと(※本書P215~の「補足資料」は除く)。著名人や成功者、専門家の考えが詰まったビジネス書は山ほどある。その対極を目指したのだ。続いて、(3)「ですます調」で書くこと。(4)ブチブチ切れる単調な文体で書くこと(前回のコラム参照)。(3)(4)は、文章の質に新奇性を求めた結果である。「企画そのものが新しい」とのご意見も頂戴したので、それも(5)として追加したい。
世の中には、無数の本が存在する。その中には、本書に似たものが何冊もあるかもしれない。しかし、上記(1)~(5)をすべてかけ合わせることで、幾らかは新しさを備えたものに昇華できるのではないか、と思ったりする。
この度は、3回にわたって、取るに足らないことを気ままに書かせていただいた。書くことによって執筆時の熱が蘇り、当時のさまざまな記憶が思い出されると同時に、書籍に対する愛着が一層強くなったような気もする。
良い機会を与えてくださったことに感謝する。ありがとうございました。
■著者紹介
『仕事にやりがいを感じている人の 働き方、考え方、生き方。』(毛利大一郎・著)
株式会社R4 クリエイティブディレクター/ライター
1974年 愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学 第一文学部卒。2006年、企業の人材採用・教育に関わる各種サービスを展開する株式会社R4に入社。以来、数多くの求人広告・企業広告の制作に携わる他、パンフレットや映像の企画・制作、企業理念の作成・ブランディングなどを行う。2014年より同社制作部 事業部長。