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自分史の自費出版、その方法と注意点

自分史を最後まで書き上げるのは、それだけでも大変な作業。形になった大事な原稿は、せっかくなら出版して世に出したいと思うのも当然です。自分の歩みが記された本が書店に並び、多くの人に読んでもらえたら、それは最高の喜びでしょう。

自分史を本にするには、多くの場合、自費出版という方法を選択します。自費出版で大事なのはどんなことでしょうか。この記事では書店流通や作業内容で注意すべきポイントをまとめます。

 

本になるまで作業はたくさん

そもそも「出版する」とは、単純に本を「印刷する」ということとは違います。最大の違いは「編集」作業にあるでしょう。

自分史の原稿は、長ければ10万字超という膨大な文字数になります。もちろん自分自身で何度も読み返し、手直しをしているでしょう。しかし、プロである編集者や校閲の目を通す編集作業は、自身で行うそれとは大きく異なります。用字用語の誤りを正し、表記の揺れは統一するなど、細かいところまで指摘されます。分かりにくい部分の書き換えを求められる場合もあります。

歴史的事実などのファクトと違う部分の修正は極めて大事です。書店に流通する本を目指す以上、ファクトの誤りは致命傷となりかねません。

原稿以外にも、製本までに決めるべきことは山ほどあります。表紙の形状、中の紙の質や色、ページのデザインや活字のフォント……。ひとつひとつの選択でコストが増減、本全体の印象も大きく変わります。プロの意見も聞きながら、慎重に方法を選択する必要があります。

こうして、自分の原稿が「本」という形になっていくのを目にすることこそ、自費出版の醍醐味だと言えます。

 

出版社選びが最重要

自費出版は、その呼称の通りに出版に伴うコストを著者が自ら負担します。出版社側が費用を負担し、営利目的で出版する「企画出版」できるのは、ごく一部の人だけです。
自費出版には、さまざまな方法があります。まず大事なのは、自分の希望する形を実現してくれる出版社の選択です。

出版社によって、企画立案や編集作業への関与、デザインの幅、さらには流通させる力量は違います。書店への流通まで望むのであれば、編集作業から流通まで、安心して依頼できる出版社にするのをお薦めします。

出版社との契約の前に、まずは打ち合わせです。編集作業ではどこまで期待できるのか、校閲は何回か、担当編集者はどこまで面倒を見てくれるのか。費用面も含め、ひとつひとつ確認します。気になることがあれば、遠慮なく質問しましょう。

また、書店への流通には、経験とノウハウの有無も重要です。書籍の流通システムは独特で、広く流通させる場合は通常、取次店を介した「委託販売」の方法が取られます。「売れなければ返本される」という委託販売の仕組みの中で、しっかりと自分の本を売ってもらえる会社かどうかが重要です。また、書店に直接配本するルートを多く確保している出版社であれば、より確実な流通が望めるでしょう。

もっとも、本は流通させれば売れるわけではありません。書店の良い場所に並べてもらえるのか、表紙が見えるように陳列する「面出し」はしてもらえるのか……。こうした点は、書店に対する出版社の営業力で大きく変わります。

本になるまでのサポート、その後の流通と営業。いずれも満足できるものであると確信できるまでは、契約すべきではありません。一方、満足できる出版社と契約するのであれば、一定の費用がかかるのは覚悟しなければなりません。

 

いっそ電子出版も

費用も抑えたいのならば、編集作業を省いて「印刷」だけにする方法を検討してみるのも良いでしょう。原稿を持ち込みさえすれば、格安で本にしてくれる出版社は数多くあります。身内だけの配布などで少部数しか必要でない場合が該当します。

さらに、費用の安さが最も大事なのであれば、紙の「本」だけでなく、電子出版も選択肢に加えてみてはどうでしょうか。大手のネット通販サイトなどには、個人で電子書籍を出す方法がそれぞれ用意されています。原稿の準備と、システムへの登録が自力でできるのなら、費用はゼロで済みます。書店には並びませんが、検索では流通している本と同列に扱われるのもメリットと言えるでしょう。

いずれも、編集作業へのサポートはありません。自分で責任を持って原稿を仕上げるのが重要になります。出版社によっては電子書籍であっても編集や校正作業など手厚いサポートを行っているところもあります。

 

まとめ

自費出版は、出版社や編集者との出会いが鍵です。時間をかけ、苦労して仕上げた原稿です。本として仕上がり、流通して読者の手に渡るまで、長い旅を二人三脚で歩める相手を選ばなくてはなりません。

どんな本にしたいのか。読者にどう届けるか。しっかり見極め、納得のいく自分史出版にしましょう。

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