先輩編集者に聞いた わかりづらい文章の共通点
自分の経験や、思ってきたことを文章にしたことはありますか?
私たちは義務教育において、文章の読み方は教わってきましたが、書き方はそれほど教わっていないのかもしれません。
受験勉強で学んだ国語の内容は、漢字の読み書き、小説や論文の読み解き方、古文漢文でした。
小論文や作文を書いた覚えはあるけれど、教わった量は少ないのではないのでしょうか。
実は、話すことがうまい人でも書くことは苦手だったりします。話し言葉は口語表現と言い、書き言葉とは違うのです。
出版社で働き始めて間もない私は、文章を書くうえで気を付けなければならないことを先輩編集者に聞いてみました。
すると、読みにくい文章には4つの共通点があると教えてもらうことができました。
今回は、先輩編集者からの教えをもとに、文章を書くときに気をつけるべきポイントを解説いたします。
①読点が多い
句読点のない本は存在しません。
相手に間違った解釈を与えてしまわないように、文章には読点を置きます。
そして、文章の終わりを知らせるために句点を置きます。
句読点はこのように、文章を書くうえで必須かつ便利な記号です。
しかし、丁寧に文章を書こうとすると、読点が自然と多くなってしまうことがあります。
文章を書くときには、読み手にとっての読みやすさを考慮しましょう。
「あの日、ぼくは、親とけんかして、公園にいった。」
「あの日ぼくは、親とけんかして公園に行った。」
読み比べてみると一目瞭然です。
しかし、自分で書いた文章である分、なかなか自分では気づけないものです。
その文章を初めて読む人の立場に立って、読み手が気持ちよく読めるようになっているかどうかを検証してみましょう。
②文末がすべて同じ
コンパクトにまとめることができず、一文が長くなってしまうケースがあります。
それを避けるため、句読点を活用して文章を短くまとめることは一つのテクニックです。
ただ、もう一つ気をつけたいことがあります。
文末のことばに注目してみましょう。
「朝起きたら、寝坊でした。寝る前にアラームをセットしたはずでした。しかし、鳴りませんでした。学校に行ったら怒られました。」
文末がワンパターンだと、違和感を覚える文章になってしまうのです。
③主語が複数ある
書いている側としては気づきづらいのですが、主語が複数ある文章は読みづらいものです。
主語を使うとき私たちは、「は」や「が」を使っています。
「は」と「が」が2つになってしまった場合は、「を」や「に」「の」を使ってみましょう。
また、自分の言いたいことは単語を入れ替えてみても伝わります。
「私はあなたがいった言葉が心にしみました。」
「あなたの言った言葉は、私の心にしみました。」
前者でも伝わるかもしれませんが、後者のほうがきれいな文になっています。
読みやすく、伝わりやすい文章はいつもきれいです。
④ディテールを書かない
ディテールとは「detail」、つまり詳細です。
これは、必須ではありませんが、使うと差が付くテクニックです。
ディテールを話すことで、読み手に想像力を働かせ、より共感させる効果があります。
小説に、その日の天気、登場人物の表情、時間などが書かれているのにはこのような理由があります。
「昨日の野球は非常に盛り上がっていた」
「野球の試合の際、東京ドームの収容人数は46,000人である。満席となった昨日の試合は、毎回得点の入る攻防戦となり、非常に盛り上がっていた」
「非常に盛り上がった」では、自宅で身内と盛り上がったのか、会場で盛り上がったのかは、書かなければ読み手はわかりません。
読み手に共感を与えるには、必須の要素になるでしょう。
おわりに
文章を書いてみると、自分の心で引っかかっているものを具現化することができます。
本を書くことは、表現方法のひとつです。
編集者と議論しながら、あなたの作品をブラッシュアップしていきましょう。
私たちがお手伝いいたします。