もう迷わない! ページをめくる手が止まらない小説の書き方の基本
ページをめくる手が止まらない、読み始めたらいつの間にか朝だった……。
そんな、読者の心を掴んで離さない小説は、どうすれば書けるのでしょうか。
本コラムでは小説執筆の基礎をご紹介し、皆さまがオリジナリティを思う存分発揮できる土台造りの方法をまとめます。
読者の心を惹きつける基本3箇条
Ⅰ. 「設定集」と「プロット」をつくる
①「設定集」とはなにか
「設定集」とは、執筆に必要な情報をあらかじめまとめたものです。
設定集にまとめられる代表的な情報を以下にまとめます。
ぜひ、ご自身で作成する際の参考にしてみてください。
文体の決定
・敬体(です・ます調)か常体(だ・である調)か。
・地の文は一人称(主人公視点)か三人称(第三者視点)か。
※一人称視点) 私が「うわっ」と大声を出すと、彼は静かにするよう指を口に当てて制した。
※三人称視点) 花子が「うわっ」と大声を出すと、太郎は指を口に当て、静かにするよう制した。
時代背景
・いつの時代の話か
舞台設定
・どこの世界の話か。現実世界か空想世界か。
登場人物
→名前、性別、年齢、容姿、性格、物語の中での役割など
→主人公、主人公の仲間、ライバル(この3つが物語の中心となるメイングループ)と脇役の設定
独自設定
→政治、経済、気候、生態系、文化、物理法則など
キーワード
→物語を象徴する語句・フレーズを書き出す。
執筆を進める上で大切になってくるのが、物語に一貫性を持たせることです。
物語の途中で設定が変わったりすることが無いように、設定集は小まめに見返しましょう。
②「プロット」とはなにか
プロットとは物語の「出来事」のみを書き記したものです。
アイディアはまずプロットに起こしてみるといいでしょう。
<プロット例>
- 母親の退院が近づく
- 田舎の一軒家に引っ越す
- 主人公が庭で小さな妖精と出会う
- 主人公が小さな妖精を追い森に入り、たくさんの妖精と会う
Ⅱ.三幕構成に落とし込む
三幕構成とは、脚本の構成方法の基本です。映画の脚本の多くは三幕構成になっており、小説にも応用が可能です。
- 第一幕……条件設定
- 第二幕……対立・衝突
- 第三幕……解決・エンディング
■第一幕(条件設定)では何を書けばいい?
誰が、何をするストーリーであるかが設定され、主人公の目的が示されるパートです。
読者が前もって知らなくてはならない情報をここで説明しておきます。
主人公が何としてでも達成したい目的とその動機と必要性。ライバルがそれを阻止する目的と必要性を示し、ストーリーに妥当性・合理性を持たせます。
■第二幕(対立・衝突・葛藤)では何を書けばいい?
主人公が自らの目的を達成する際に生じる障害にぶつかります。襲い掛かる困難は次第に大きくなり、第二幕後半で物語の最高潮を迎えます。
■第三幕(解決・エンディング)では何を書けばいい?
「主人公は目的を達成できるのか?」という問いに対する答えが明かされます。ハッピーエンドかバッドエンドかを選択し、物語をまとめます。
※幕のあいだにはターニングポイントを挟みます。ふとした出来事をきっかけに、第一幕から第二幕に突入します。
全体的なボリューム配分は、第二幕のピークに紙幅を割くために第一幕:第二幕:第三幕=1:2:1が望ましいでしょう。プロットをまとめておくことで、第二幕にボリュームを持たせることが可能になります。
よくあるケースとして、事前準備なく書き始めると不必要なことまで書いてしまい、第一幕の分量が多くなってしまうことが挙げられます。こういった事態にならないために、プロットは綿密に作りましょう。
Ⅲ.内容を推敲する
いくら設定集やプロットをまとめても、冒頭から細部に拘り過ぎてしまうと書き進めることが難しくなります。まずは70点の完成を目指しましょう。
大筋を書き上げてから細部に肉付けをして、何回も見直すことで少しずつ理想の形に近づけていきます。
一流の作家も、推敲には多くの時間を割きます。
さいごに
なかなか筆が進まず、スランプに陥ることもあると思います。悲観的な考えに負けて、止めてしまおうと思うことも起こりえるでしょう。
そんな時はまず落ち着いて、設定集やプロットを見直しましょう。あるいは原稿を第三者に見てもらい、新鮮なアドバイスをもらって気分転換しましょう。
あなたの小説は誰かに読まれるのを待っています。最後まであきらめずに完成させられるよう、応援しています。