芥川賞、直木賞、本屋大賞……文学賞受賞作品から学ぶこと
2017年7月19日、第157回芥川龍之介賞・直木三十五賞が決定しました。芥川賞には沼田真佑氏の『影裏』(文學界5月号)、直木賞には佐藤正午氏の『月の満ち欠け』(岩波書店)が選ばれ、それぞれ初めての受賞となりました。
芥川賞と直木賞の違いは?
芥川賞、直木賞の違いを正しく理解しているでしょうか。
毎年同じ日に発表されるため、その違いを実はよく理解していないまま受賞者のみを認知している方も多いと思います。
芥川賞はその名の通り、「芥川龍之介」の業績を記念して1935年に創設されました。
この芥川賞の創設者は芥川龍之介の友人であった菊池寛です。
菊池寛はこの芥川賞とあわせて、こちらも友人であった直木三十五を記念して直木賞を創設しました。
どちらも菊池寛が1935年に創設した文学賞です。
創設の流れまででは違いがありません。
芥川賞と直木賞の違いはその受賞対象が違うのです。
芥川賞は、「純文学作品」に与えられる文学賞。
直木賞は「大衆小説作品」に与えられる文学賞です。
違いが明確にわかっていれば、自分の好みに合わせて話題作を選び、読むことができますね。
人生を大きく変える、芥川賞・直木賞受賞!
芥川賞・直木賞ともに年2回選出され、毎回大きな話題を呼んでいます。
2015年にお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹氏が『火花』で芥川賞を受賞。初のお笑い芸人の受賞ということで大きな話題を呼び、累計約270万部を超える大ヒットを記録しています。メディアにも大きく取り上げられ、漫画化やネットドラマ化、映画化とさまざまにメディアミックスされた作品で、近年最も芥川賞を受賞して盛り上がった作品だといえるでしょう。
芥川賞・直木賞の他の文学賞
文学界にはさまざまな賞が存在します。本屋大賞、小説すばる新人賞、オール讀物新人賞、小説現代長編新人賞……。
その中でも毎年大きな話題を呼ぶ賞として、本屋大賞があります。
本屋大賞は、書店で働く書店員さんの投票によって決まります。過去一年の間、書店員さん自身が自分で読み「面白かった」「お客様にもすすめたい」「自分の店でたくさん売りたい」と思った本が選出されます。
その投票数が一番多い書籍が本屋大賞を受賞するのです。
書店員さんは毎日多くの書籍と、それらを買う多くのお客様を見ています。
書籍が売れていく現場を毎日目の当たりにしているため、書籍のトレンドに敏感です。
そんな書店員さんが選ぶ本屋大賞受賞作品は、絶対に読んでおきたい作品ですよね。
ちなみに、今年の本屋大賞受賞作品は幻冬舎から発売されている『蜜蜂と遠雷』です。
『蜜蜂と遠雷』は先ほど紹介した直木賞も受賞している作品です!
読んでいない方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
受賞作品を読む
小説を書く上で、多くの人に読んでもらうことを目標とする方は非常に多いものです。
芥川賞受賞作品、直木賞受賞作品をはじめとする数々の賞は、多くの人の目に留まるきっかけにもなり、実際に多くの人に読まれ愛される書籍になっていきます。
受賞作品をたくさん読むことは、質の高い読書経験を得られるだけではなく、文章力の向上にもつながります。
受賞作品には、より多くの人に読んでもらえる作品作りのヒントが隠れているはずです。
どのような書籍が人気なのか、どのような書籍が世の中から必要とされているのか――それらを分析して、執筆に生かしてみるのもいいかもしれません。