インターネットからデビューを果たした人気ライトノベルとラノベ市場動向|ライト文芸出版講座
ライトノベルの出版を目指している方にとっては、新人賞への応募はもちろん、日ごろから作品をWeb公開し人気を獲得することも非常に重要です。
そうした公開の場として、例えば大手小説投稿サイト「小説家になろう」が挙げられます。
同サイトには毎日たくさんの作品が公開されており、登録ユーザー数は191万人を超えると言われています(2020年10月時点)。
ところで、なぜこんなにも利用者が増えているのでしょう。
その理由は、同サイトからデビューしたライトノベル作家の作品が、ベストセラーを果たしたからだと考えられます。
書籍は数百万部発行、アニメ化・マンガ化などのメディア展開も果たした先駆者たちの姿を見れば、自分も後に続きたいと思うのは当然のことでしょう。
そこで今回は、そんな先駆者たちのライトノベル作品──インターネットから羽ばたいていった作品をご紹介します。
『魔法科高校の劣等生』シリーズ(佐島勤・著)
「小説家になろう」で2008年に連載を開始した学園バトルアクションの本作。
同サイトの累計ランキングでは1位を獲得したこともある人気作品です。
2011年に電撃文庫から出版デビューを果たしてから、シリーズ累計発行部数はなんと500万部以上。
ライトノベルといえば「小説家になろう」、という一般認識が生まれたのも本作の大ヒットがあったからだと言われています。
同じく人気作品の『Re:ゼロから始める異世界生活』の作者も本作から「小説家になろう」を知ったことを考えると、後代の作家たちに与えた影響も甚大であることがわかります。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(大森藤ノ・著)
「小説家になろう」のほか同じく小説投稿サイトである「Arcadia」にも投稿されていた本作は、GA文庫大賞で見事大賞を飾りました。
実は本作、受賞時には『ファミリア・ミィス』という作品名に改題されていました。
ちなみにこの「ファミリア・ミィス」という言葉は、アニメ化の際に第13話のタイトルとしても使われています。
ネットからアニメへの華麗なる足跡を繋いでいるようで、なんだか素敵ですよね。
同作は後にGA文庫にて文庫化され、シリーズ累計発行部数370万部を突破。
第3回ラノベ好き書店員大賞でも第1位に選ばれています。
『ソードアート・オンライン』(川原礫・著)
本作は著者本人が運営するWebサイトに掲載されていた小説が元となっています。
別作品が電撃小説大賞で大賞となったことをきっかけに、電撃文庫にて書籍化が決定しました。
アマチュア時代から高い実力があったことが分かるエピソードですね。
シリーズの累計発行部数は1,670万部を突破した大ベストセラーで、人気ライトノベル作品を決める宝島社の『このライトノベルがすごい!』では、過去に2冠・2連覇を記録しました。
2010年代の学校読書調査でも度々その名が挙がるなど、若い感性を夢中にさせているのも本作の特徴です。
実力・人気ともにトップクラスのライトノベル作品と言えるでしょう。
以上、大人気作品から当時話題になったものまで、3作品を取り上げました。
これらの作品を参考にライトノベル市場の歴史を把握しておくことで、より面白い作品が執筆できるかもしれませんね。