自費出版からのベストセラー ~あの有名作家も自費出版からだった~
あの有名作家は最初から出版社に原稿を見初められてデビューしたのではないか、とイメージされている方も多いと思います。
しかし、誰もが知っているような有名作家の中にも、自費出版からスタートしたというケースもあるのです。
今回のコラムでは、「自費出版からベストセラー」という夢を掴んだ作家たちをご紹介します。
【夏目漱石『こころ』】
文豪中の文豪、夏目漱石。
彼の代表作である『こころ』は実は自費出版によって出版されたのです。
『こころ』は最初、朝日新聞に連載されていて、その頃漱石は既にベストセラー作家。
自費出版しなくても・・・と思ってしまいますが、『こころ』の出版には素敵なエピソードがあるのです。
大正13年、ある小さな古書店の店主が朝日新聞に連載されていた漱石の『こころ』を読み、感銘を受け、出版依頼を直談判しに行き、漱石から承諾を得たのです。ベストセラー作家が古書店の店主の出版依頼を受け付けること自体、異例なのですが、なんと店主は「費用はすべて夏目先生に負担してもらいたい」と提案します。
なんと、このお願いも漱石は承諾します。
こうして『こころ』は漱石自ら費用を負担し、出版され、装丁、広告のキャッチコピーまですべて自分で行いました。
皆さんがご存知の通り、ベストセラーとなった『こころ』。
更に驚きなのが、エピソードの主人公である古書店の店主は、なんと後にかの有名な岩波書店の創業者となる、岩波茂雄氏!
『こころ』の一件で、小さな古書店は大手出版社となるきっかけをつかんだのです。
【山田悠介『リアル鬼ごっこ』】
累計発行部数200万部を超えた超人気作、『リアル鬼ごっこ』。
著者は若者から絶大な支持を受けている、山田悠介氏。
幻冬舎より商業出版化されている作品ですが、スタートは自費出版からでした。
引きこもりだったという山田氏は何かクリエイティブなことがしたいと書き始め、自費出版会社に原稿を持ち込みました。
費用に関しては、引きこもりだった山田氏が何か自分でやろうとしていることに感動したご両親が出したそうです。
山田氏が持ち込んできたまったく最初の原稿は、文章は拙いし日本語として間違っている部分が散見されたりと、一言でいえば「ひどい原稿」だったそうです。
しかし、文章はひどいが内容はすごい!と噂になり、ベストセラーとなったのです。
【Jamais Jamais(じゃめじゃめ)『B型自分の説明書』】
数年前、こんな本が流行したのを覚えていますか?
自分の血液型の説明書を買って、「これ当たってる!」と盛り上がった方も多いでしょう。
シリーズ累計540万部のこの超ヒット作も自費出版本なのです。
2006年ごろに著者のJamais Jamais氏は自費出版大手の文芸社に原稿を持ち込みました。
本の売れ行きに対するJamais Jamais氏の最初の目標は、「かかった経費くらいは回収したい」というものでした。
しかし担当編集者の「出すからには売れる本にしたい」という強い思いのもと、数々の打ち合わせを重ね、ベストセラー作品になるまでに成長したのです。
全ての自費出版が紹介したエピソードのように上手くいくわけではありません。
しかし、「出版」は昔よりもはるかに身近になってきていて、自費出版は自分の思いを世の中に発信する重要な手段です。
「出版なんて自分には・・・」と後ろ向きにならず、一歩を踏み出してみませんか?