原稿校正に関わる『編集プロダクション』ってどんな会社?
編集プロダクション、通称『編プロ』の存在を知っていますか?
著者が執筆した原稿を、出版社と協力して編集・組版・校正などを行う編集実務の委託会社です。その実態はあまり知られていませんが、先述したとおり、出版社と協力して2人3脚で編集作業を行うパートナーであり、著者の原稿にも大きく関わっているのです。
そこで今回は、編集プロダクションについて取り上げ、どんな仕事を行っているのかを紹介していきます。自費出版をする際は必ず関わる業者ですから、それがどんな存在であるのか、きちんと把握しておきましょう。
なぜ編集プロダクションという業者がいるのか?
編集プロダクションは、元々大手出版社などで編集業務をしていたベテラン編集者たちが独立して設立したプロダクションであると言われています。
というのも、今でこそ低迷している出版業界は高度経済成長期時代は売上げ好調で、出版社の刊行点数も大幅に増加していました。
それによって出版社の人手不足も問題になってきており、社内の編集担当が足りずに刊行が間に合わないといった事故が発生するようになりました。
そんな時に、編集業務を引き受ける『編集プロダクション』が設立され、代行する業務範囲も確立されていきました。
現在では出版社の下請けという位置づけで、出版社の編集担当と協力して原稿校正などにあたり、出版に至るまでの作業の一部を代行しています。
編プロって何をしているの?原稿への関与はどれくらい?
編集プロダクションの業務内容は各プロダクションによって様々であり、一概に決まっているわけではありませんが、編集や校正などの作業を行う場合が多いようです。基本的には出版社の編集担当と話し合いながら、原稿をより良いものにしていくための相談や修正を行います。
編プロはこれまで数々の書籍の編集を行ってきた知識や経験を活かし、出版社の編集担当は自社の出版・販売実績や著者のこだわりを汲み取り、最適な編集提案をお互いにぶつけていきます。その中で、納得のいく結果を目指して作業を進めていくのです。
出版までの様々な過程で関わる
編集や校正作業以外にも、企画段階から関わって取材に同行したり、イラストやデザインの提案を行う事もあります。
企画や原稿編集に深く関わっている場合は、著者と編プロが顔合わせをして共に制作に取り組む事もあり、最終的に印刷所に入稿データを渡すこともありますから、出版社・著者・印刷会社、時にはライターやデザイナー、イラストレーターなど、出版に関わる全ての人とコミュニケーションを取り作業を進めていきます。
出版社の編集担当者はもちろん、あまり関わりの無いように見える著者自身の執筆活動にも影響を与える可能性があるため、このように編プロの業務を理解しておく必要があるのです。
良い編プロに編集作業を依頼するには
編プロは基本的には出版社を通じて編集に関わるため、著者が編プロを選択したり、仕事を直接依頼することはほとんど無いでしょう。
しかし選べないといっても、できるだけ良い編プロに仕事を依頼したいもの。そんな時は以下の項目に気をつけてみてください。
|著者の思考と合う編プロを紹介してもらう
ひと口に編プロといっても、その業態は様々。小規模であるため主宰の人柄や得意分野なども仕事に大きく影響します。取引先の編プロが限られる小さな出版社では、自分とは考え方が合わないところと組まされてしまった・・・といった事もありがちです。間に優秀な編集者がいれば安心できますが、なるべく自分の感性や得意分野と近しい編プロに仕事を依頼してもらえるよう、相談してみましょう。
|人に読ませる事ができるレベルの原稿に仕上げる
サービスの質やスピード感のある『良い編プロ』は人気であり、常にたくさんの原稿の編集業務に関わっています。出版社にとっては当然、良い編プロには良い原稿を渡したいもの。
直感で書いた独りよがりで分かりにくい文章や、単純に誤字脱字が多い、ほとんどの出典元が不明確であるといった、あまり期待できない原稿には良い編プロは宛がわれません。
最低限、人に読んでもらう事ができるきちんとした原稿執筆を心がけましょう。
以上、編プロの概要と付き合い方のポイントを簡単にお伝えしました。基本的に著者と編プロが関わる機会は少ないですが、編集作業の裏側では深く関わっているのです。こうした関係間の状況を知ることも、納得のいく本作りを実現する上で必要なのではないでしょうか。