小説家の印税が分かる!? 森博嗣『作家の収支』
小説家が自身の印税収入を公にすることはめったにありません。
それゆえベストセラーが生まれると、著者がいくらの印税をもらったのか噂が噂を呼び、しばしば大きな話題となります。
謎に包まれていた小説家の収入について、その秘密を明かす驚きの書籍が出版されました。
作家の収支(森博嗣・著)
著者は19年間で15億円!
作家は、どれだけ儲かるか?
誰も書かなかった小説家の収入の秘密と謎を、余すところなく開陳した前代未聞の1冊。
・あなたは小説家の文章がいくらで売れるか知っているか?
・僕は1時間で6000文字(原稿用紙約20枚分)を出力する。
・傑作も駄作もエッセィも原稿料はあまり変わらない。
・人気作家の人気とは「質」ではなく、あくまで読者の「量」のこと。
・印税はふつう10%だが、交渉次第で数%上がる。
・1冊も売れなくても印税は刷った分だけ支払われる。
・これといったヒットもないのに、いつの間にか「Amazon 殿堂入り作家20人」に!
同書では、通常知ることのできない作家の印税・原稿料・講演料、著作権使用料、出版社と書店の収益構造までが、著者自身の作品を具体例に赤裸々に語られています。
そもそもなぜ「印税」と呼ぶのか
よく耳にする「印税」という言葉。
「税」とついてはいますが、実は税金とは全く関係がありません。
その昔は、著者の認印を捺した「検印紙」を書籍に貼ることで部数を確認していました。
当時はこの検印紙の枚数に応じて利用料が支払われていました。
この支払方法が印紙税の納付に似ていたことから、印税と呼ばれるようになったのです。
検印は1970年代後半になくなりましたが、今でも「印税」という名前だけが残っています。
小説家を目指す方は、本書で出版の仕組みを知ろう
出版不況と言われてはいますが、売上が伸びる書籍には共通点があります。
それは以下の2点です。
- 関連書籍の売れ筋を踏まえていること
- SNSや広告を活用してプロモーションを継続的に展開していくこと
同書では特に後者、書籍の売れ行きとマスメディアによる宣伝効果の関係が紹介されています。
小説家を目指すみなさんには、出版の仕組を知るうえでお勧めの一冊です。
もちろん作家志望ではない方にとっても興味深い内容となっているので、ぜひご一読ください。