書籍の制作工程には「校閲」「校正」という作業があります。
2016年には『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』というテレビドラマも放映され、校閲が広く知られるきっかけになりました。
校閲がメジャーになった一方で、よく似た校正との違いについてご存知ない方もまだいらっしゃるのではないでしょうか。
本コラムでは皆さまに「校正と校閲の違い」をご紹介します。
「校閲」という語について、デジタル大辞泉では次のように定義されています。
文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、訂正したり校正したりすること。
ここでいう「誤り」「不備」とは、事実の誤認や、社会通念に照らした際に不適切と判断される記述のことをいいます。
したがって、例えば以下のような情報が校閲の対象となります。
・人物の出生地や生年、没年
・著者名、作品名、出版社名、刊行年月日
・大会等イベントの参加人数
・差別用語、放送禁止用語
こうした確認事項を見れば、書籍が信頼の置ける良心的なメディアであり続けるためには、校閲という過程ならびに校閲者の存在が不可欠であることがお分かりいただけるかと思います。
皆さまが書籍を読んで「タメになった」と感じたなら、そこには著者の方の努力はもちろん、校閲者の努力も関係しているのです。
対して「校正」という語は、デジタル大辞泉で次のように定義されています。
印刷物の仮刷りと原稿を照合し、誤植や体裁の誤りを正すこと。
この定義を見ても分かるとおり、校正と校閲では正しさの基準が異なります。
校閲における正しさの基準は客観的事実や社会通念など、言わば文章の「外側」にありました。
一方で校正は、制作の過程で生じてしまった誤りを直すという意味で、文章の「内側」に正しさの基準が置かれています。
詩集を例にあげて、もう少し詳しくご説明してみましょう。
詩として用いられる言葉は、しばしば私たちの日常的な言葉の使い方を離れ、そのため文法的な正しい/正しくないの判断に収まらない可能性があります。
したがって、詩を「校閲的」な観点から修正することは困難といえます。
一方で、著者の方のこだわりは何より重視しなければなりません。
詩人の方々は──当然小説家やエッセイストの方々もそうでしょうが、とりわけ──言葉に対して鋭敏な感性を持ち合わせています。
原稿をやりとりするなかで、てにをはの一字が変わってしまったなどということになれば、作品のもつ価値は一変してしまうでしょう。
そうした悲劇を避けるために重要なのが、他ならぬ「校正」です。
著者の意向を正確に反映させるため、一字一字ミスがないか確認を行います。
文法上の指摘を超え、著者の方のこだわりを守り抜くガードマン、それこそが校正者なのです。
最後に、本コラムでご紹介した内容をおさらいしましょう。
・校閲は事実や社会通念など、原稿の「外」に基準を置いた確認作業。正しい書籍づくりにとって重要。
・校正は制作過程における文言の違いなど、原稿の「内」に基準を置いた確認作業。こだわりの書籍づくりにとって重要。
書籍制作を支える陰の立役者について、ぜひ頭の片隅に置いていただければ幸いです。
幻冬舎ルネッサンス新社では、本を作る楽しみを自費出版という形でお手伝いしております。
原稿応募、出版の相談、お問い合わせ、資料請求まで、お気軽にご連絡ください。
お問い合わせいただきましたら、担当の編集者がご対応いたします。
原稿内容やご要望に沿ったご提案やお見積もりをご提示いたします。
幻冬舎グループ特約店(150法人3,500書店)を中心とした全国書店への流通展開を行います。