自分だけで迷うのではなく
「編集者との出会い」が大きな一歩となる。
『205X』(水野武光 著)
経済低迷、政治の迷走が続いた40年後の日本は、完全に中国政府の支配下に置かれ、廃墟と化していた。中国による完全な植民地化。再生することなど想像もできないほどの絶望的な状況に、革命の魂が目を覚ます! レジスタンスたちは、過去の過ちを修正することができるのか? (電子書籍も発売中)
幻冬舎ルネッサンスで2010年に『205X』を出版された水野武光さん。サラリーマンとして会社勤めをする傍ら原稿を書き上げました。出版後も地元の新聞、ラジオを中心にメディアで情報発信を続けていらっしゃいます。出版後年月が経過した今、改めて『205X』のプロモーション活動を展開している水野さんにその理由と、忙しいサラリーマンをしながら出版を決意したきっかけを聞いてみました。
―なぜ本を作ろうと思ったのか、きっかけを教えていただけますか?>
水野 もう10年くらい前になりますが、サラリーマンとしてリタイアした後がとても心配で、リタイア後の備えとして会社以外の自分の世界観を持ちたいと考えるようになったのがきっかけです。以前から文章を書きたいと強く思っていたこともあり、やはり本を作ろうと考えました。具体的に、「小説を書きたいな」と思ったのが45歳のときです。それから、原稿用紙で書こうか、ワードで打ってみようかなんて考えながら、小説の書き方関連の本を色々読み始めました。
―書きたいと思っても、まず原稿の書き方が分からないですよね。
水野 そうですね。書きたくても書き方が全然分からないんです。原稿の書き方に関する具体的な情報って、インターネット上にも意外と少なかったんですよ。当時私も情報を集めるのにとても苦労しました。原稿用紙をダウンロードしたり、出版に必要なおよその文字数に関する情報を探したりとか、そんなところから始まりました。本当に手探りで書き始めました。
―これを伝えたい、というものが具体的にあったのでしょうか。
水野 書きたいことが先にあったから書いたというよりも、自分の生きてきた中で得たものを何らかの方法で表現したい、という欲求が先でした。しかし、表現の場がどこにあるだろうかと考えたとき、会社の中の世界しか持っていないままでは難しいと感じました。会社の中ではなく、どこか別の世界でこれまでの自分や、今の自分の全てを表現することはできないかと考えたときに真っ先に浮かんだのが、好きだった文章を書くという選択肢でした。そういう場が会社にいるだけで与えられることはありませんので、自分から作っていかないといけないなと思いました。
―具体的なテーマはどのように決めたのですか。
水野 2009年の4月に、北朝鮮がミサイルを撃つという大きな事件がありました。当時日本は中国と仲良くさえしていれば大丈夫と言われていましたが、このニュースを聞き、あまりにも無防備な日本に強い危機感を持ちました。それを自分の意見として広く伝えたいと思ったのですが、それが簡単ではないことも分かっていました。そこで、小説という形であれば、多くの人に私の考えを伝えることができるのではと思い、テーマを決めました。
―小説の構想を練るためにどのくらいの期間を要したのでしょうか。
水野 構想は1ヶ月で練り上げ、原稿は3、4ヶ月くらいで書き終えました。書き終えて、さあこれをどうしようと出版社をインターネットで探しているうちに幻冬舎ルネッサンスのホームページで出版セミナーの告知を見つけ、ものは試しだという気持ちで行ってみたのが出会いですね。
―他の出版社とはお話をしなかったのですか。
水野 しませんでしたね。最初にお話をした幻冬舎ルネッサンスで決めようと思いました。
―幻冬舎ルネッサンスを選んでくださった決め手はなんだったのでしょうか?
水野 編集者の方が決め手でした。出版セミナーで幻冬舎の自費出版の概要は理解できましたが、安心できたのはセミナー後に編集者と直接お話をしたときです。自分のお金を出すからにはしっかりとしたものを作りたかったので、どうすれば良い本が作れるのか、出版後どうなるのか、とにかくたくさんの質問を投げかけました。もう他に聞けることは何もないと納得いくまで話を聞かせてもらいました。
ただ、本当に大変なのはそれからでした。ストーリーの中で辻褄が合わないとか、設定がおかしいといった指摘はなかったので安心しましたが、担当の編集者から原稿が多すぎるため、半分にするべきと言われたんです。
構成としていらないものはもったいないとしがみつかずに、思い切ってカットすることが大切だと、やっていく中で気づきました。最初は思いつくままにだらだら書くだけでしたから、いくらでも書くことができました。後から読むと恥ずかしいようなかっこつけた文章は書けるのですが、無駄を省いてまとめる工程はとても良い訓練になり、ものの書き方とはこういうことかと学ぶことができました。実は最初に書いた原稿は800ページにも及んでいましたが、それをどんどんまとめていく作業は大変でしたが楽しい時間でもありました。
―その量を3ヶ月で書くのは大変ではありませんでしたか。
水野 ただ書くだけならば意外に書けてしまうものなんだなと自分でも驚きました。そこまで書くのは3ヶ月程度でしたが、それを削ってまとめる作業に4ヶ月かかりました。担当の編集者とは、細かな言葉づかいなどの修正というより、とにかく構成について何度も意見を交わしました。
―エッジの効いた内容ですよね。出版後の反響はいかがでしたか。
水野 新宿小田急の三省堂に並んでいるのを見かけてから少しして見に行ったら、自分の本が売れていたんです。出版前は読んでもらえるだろうかと不安もありましたが、書店に並んで売れているのが分かったときは嬉しかったですね。他にも、私が当時住んでいた地域の書店でも目立つように平積みされていました。出版後しばらくしてからも地元の愛知県内の新聞から取材を受けたり、地元のFMラジオ番組から出演のオファーをいただきました。自身の表現活動が出版によってスムーズになったとも感じています。一時的にですが、書店の週間ベスト10にも入ったこともあります。
―今改めて本のPRをしたいとのことですが、その理由をお教えいただけますか。
水野 出版当初読んで下さった方で、「どんどん『205X』の通りになってきましたね。この先、小説みたいになったら怖いですよね」とおっしゃる方が何人もいらっしゃいます。私が恐れていた中国の「正体」を皆さんも感じ始めているからだと思います。だからこそ、今、たくさんの方々に私のメッセージをお伝えしなくてはいけないと感じているからです。それを一番伝えやすいのが映像化なので、映画化を目指しているのです。
―『氷の華』のようにドラマ化された作品もございます。映画化が実現するといいですね。
水野 本当にそう思います。私は、『205X』をただの近未来小説ではなくて、「警鐘」のつもりで書きました。世界の国々には、他国の弾圧で苦しんでいる民族や国民がたくさんいます。私たちの国もそうならないようにすることが、自分自身の「志」と考えています。その意味で『205X』というタイトルはすごく気に入っているんです。編集者から、「書店で並んでいる時、手に取りたくなる題名でないとダメ。だから、たとえば『205X』です」と言われました。すごくわかりやすいとおもって、このタイトルに決めたんです。
―確かに短くて目に留まりやすいタイトルですよね。
水野 編集の方がこの地下道みたいな写真を探して来てくださり、「作品の空気感をすごく表している」と言われました。『205X 』のかすれた文字の感じもとても良くて、最終的にこのデザインになりました。ただ、全体のトーンがブルー系だったので「ホラー小説みたい」と思い、ブラウン系に変えてもらいました。(笑い)でも、編集者のお蔭で良いものができたと思っています。
―最後に、これから本を書く方々に対してメッセージをお願いします。
水野 本を出したいと思っている方にも様々な方がいると思います。全く書いたことがない方、原稿はできたけれどどこで出版したらいいか悩んでいる方、一度出版したことがあって、2冊目の出版を考えている方など。
それぞれの方の年齢や考え方によって、希望する本作りの形も全く違うものだと思いますが、せっかく時間をかけて形に残る本を世に出すのであれば、読まれなくてもいいだとか、知り合いが読んでくれればいいとハードルを下げず、多くの読者に愛される本作りをあきらめずに選ぶのが、最も後悔しない選択だと思います。自分だけで迷うのでなく、編集者との出会いが大きな一歩になると思いますね。
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