著者インタビュー

「いつかは文庫化も…」

漠然と描いていた未来が現実に。

『ゴドルフィンの末裔』

世界を狙える怪物馬、ゴールドジパングの誕生に沸く日本競馬界。そんな中、JRAの競馬誌編集者、有森とかつての同僚藤木は、ゴールドジパングの次レースを共に観戦しようと約束する。だが、藤木はレースを見ることなく、電車にはねられ、轢死する。警察は自殺と断定するが、有森は単身、死の謎を追う決意をする。競馬を愛するすべての人に贈る感動作!

幻冬舎ルネッサンスで出版後、幻冬舎で文庫化が決まった『ゴドルフィンの末裔』。著者の永橋流介さんはコンテストにこの作品の原稿を応募するも、結果は最終選考で落選。大きな挫折を経験しながらもあきらめることなく執筆を続けた永橋さんに、当時の思いや制作時のエピソードを伺った。

 

―なぜ幻冬舎ルネッサンスで出版しようと思われたのですか?

 永橋 私は、二十年近くサラリーマン生活をしていたのですが、父が亡くなり、父が経営していた不動産会社を継ぐことになりました。時間の余裕が多少できましたので、好きな競馬を舞台にしたミステリー小説を書いて江戸川乱歩賞に応募しようと思いたったのです。

半年ほどで書きあげた『ゴドルフィンの末裔』を応募しましたが、結果は最終選考で落選。作品には少々自信があったので、正直がっかりしました。それから、新作を書いて再チャレンジをしようと思っていたのですが、仕事も忙しくなり、なかなか思うように筆が進まず、四年が過ぎました。

『ゴドルフィンの末裔』の原稿も寝かしたままで、このまま埋もれさせるのは残念だなと思っていたところ、手にしたのが天野節子さんの『氷の華』です。素晴しい作品ですっかり魅了されました。出版社を調べると幻冬舎ルネッサンスとあり、「こういう出版の方法もあるのだな」と思ったのです。まさに目から鱗でした。それからすぐに幻冬舎ルネッサンスに加筆訂正した作品原稿を送ると、懇切丁寧な書評が返ってきました。それを読んで、ここならお任せできると思い、出版することにしました。

 

―制作中、思い出に残ったエピソードなどはありますか?

 永橋 文章の校正作業に入る前に担当編集者と一緒に何回か綿密な原稿整理の作業と打ち合わせを行いました。この過程でひとりでは決して出てこないような発想や修正ポイントに気づかされ、直しを入れていくうちに原稿がすごく良くなっていきました。ひとりよがりになりがちだった表現が、もっと広く読者を意識したものに変わっていき、なるほどと何度も思ったものです。

 

―本が出来上がった時はいかがでしたか?

 永橋 発売日に、自分の本が、日頃からよく行っていた書店で並んでいるのを見たときには感無量でした。あの時の気持ちは一生忘れないでしょう。また、友人、知人に、本になった作品を読んでもらうのは気恥ずかしさもありましたが、嬉しい気持ちが大きかったです。「こんな小説書けるなんてすごいね」と褒めてもらえた時は飛び上がりたくなるほどの喜びがありました。

 

―幻冬舎から文庫が刊行されましたが。

 永橋 単行本を出版してしばらくして、「実は幻冬舎からの文庫本の出版が決まったんです」と編集者が伝えてくれた時は、大変驚きました。単行本を出版してからは、たくさん売れたら『氷の華』のようにいつか文庫化もできるかなと漠然と思っていたのですが、こんなに早く文庫化してもらえるとはまったく予想もしていなかったので。「私も驚いています」と一緒になって編集者も喜んでくれました。当時社長の小玉さんが作品を読んで気に入っていただいた結果と聞き、感謝感激でした。

 

―今後の構想などあればお教えください。

 永橋 幻冬舎ルネッサンスにせっかく与えていただいたチャンスです。読者の皆様のご期待に応えて、リアルに人が描けている良質のミステリー小説を提供できる作家になりたいと考えております。ミステリー小説は筋立てとかトリックはもちろん大切ですが、人をきちんと描くことが肝心だと思っています。荒唐無稽なウソ話も、人さえ丁寧に描けていればリアリティを持たせることができるからです。次回作については構想段階ですが、皆様に楽しんでいただける作品にしたいと思っております。

 

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