編集者とのやりとりの中で
作品が切磋琢磨されていく感覚を体験
『General Practitioner 中山間地域の開業医』
中山間地域の幸福論が世界を変えると信じているドクターの1年間の記録。
幻冬舎ルネッサンスから2015年に『General Practitioner 中山間地域の開業医』を出版した山田博愛さん。中山間地域で医療行為を行う医師の1年間を記録した同書を出版するに至った背景や、書籍に込めた想いを伺った。
―出版を決めた理由、きっかけを教えて下さい。
山田 政治・経済にはじまり学問・文化などの中心が都会に偏在し、SNSをはじめバーチャルな世界が闊歩する現況に対して、日々の診療や生活の中で遭遇する、朴訥ではあるが力強く愉快な岐阜の田舎の人々の生き様を介して、震災後に本来日本が向かうべき理想の一形態を明示することが、中山間地域の豊かな自然を享受しつつ、リアリティに翻弄されながらもハッピーに生きている者の義務であろうと考えていた折に、当医療法人の老人ホーム(老健)併設を機に開設したホームページのブログの出版を、ホームページの管理会社の方から勧められたのがきっかけです。
―出版社、編集者とのやりとりで思い出深かったことはありますか。
山田 ひとつの作品を、世に送り出し、その意義を問い、そしてあわよくばブレイクさせてやろうという、担当編集者諸氏の冷静な熱意みたいなものを終始感じました。
当方と意見が対立する表現等については、ニコニコと笑顔をたたえつつも(紙面、メール、電話でのやりとりなので、実際顔は拝見していませんが)頑として自説を曲げられなかったこともあったかと思います。そうした真剣なやりとりの中で、作品が切磋琢磨されていく充実感・達成感を共有できたこと全体が、思い出深くかけがえのない体験となりました。
―ご出版を終えられた今のお気持ちを教えて下さい。
山田 新たな出版という作業を介して、社会への義務の一端を果たせなのではないかという充足感で満たされています。
一方、産み落とした作品が、世の中でいかに認知され、どのように育っていくのか、わが子を見守るように、不安と期待をもって眺めているところでもあります。親としては、親バカと言われてもいいので、今しばらくその責任を全うしていく決意でもあります。
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