30年間にわたって自分が考え実践したことが、出版を通じて深まり、整理されました。
「自社の明るい未来を築くために何をしたら良いのか。」
「自分の会社の「次世代」は大丈夫なのだろうか。」
こうしたことに悩む経営者は沢山いるだろう。自分の会社や従業員を守るため、
会社を大きく成長させるために、日々さまざまなことに頭を悩ませるのが、経営者というものである。
では、実際に会社の「次世代」を築くため必要なこととは何か――。
本書では、30年にわたり経営者や「次世代リーダー」へ人材開発の研修を行ってきた著者が、
経営陣、次世代リーダー群が一丸となって次のステップへ大きく飛躍するためのノウハウを明かす。
「そもそも、明るい「次世代」を築くためにはどうすればよいのか」
「最高レベルの商品・サービスを生み出すために必要なこととは」
「「経営者人材」「価値創造人材」が次々と生まれる「場」とは何か」
など、これからの自社を成長させるための具体的手法が多数掲載。
経営者必読の、実践的ノウハウ解説書。
山崎 「はじめに」に記したように、「次世代」に対して不安をいだいている経営者が非常に多いという事実です。特に、優秀な企業ほど目先の利益は心配ありませんので、もっと先のことが懸案事項となるわけです。
私は、企業経営を100点満点で見た場合、現経営者がうまくやって50点、次世代にうまく引き継いで50点という見方をしています。ですから、今の経営が満点の50点だとしても、次世代への引き継ぎに失敗すれば、いわゆる合格点には達しないことになります。
では、「次世代」へ引き継ぐものは何か。決して現在の事業ではありません。時代は恐ろしいスピードで変化しています。したがって、今のままで将来ともうまくいく確率は非常に低いと言っていいでしょう。次世代へ引き継ぐべきものは、リーダーの経営に対する心の姿勢であり、変化に対応して価値を生み出すための基本原理です。本書ではこの部分を整理してみたいと考えました。
―なぜこのタイミングでの出版を決意したのですか?
山崎 現在、大きな変化のうねりが世界的規模で起こっており、これは既存の価値やビジネスに対する脅威であるとともに、新しい価値やビジネスが生まれるチャンスになると考えられるからです。ご承知の通り、現在、世界は第四次産業革命に突入しています。このような時代には、表面に惑わされることなく、変化の本質をしっかり見極め、すばやく対応しなければなりません。
見極めるべき変化の本質はいろいろですが、経営の実践に不可欠なものの一つは、「峻別の時代」がやってきた、という点です。人間がすべきこととAIに委ねることの峻別、変えてはならないことと変えなければならないことの峻別、自社がすべきことと他社を活用することの峻別など、あらゆる側面で峻別が要求される時代なのです。もちろんこの峻別基準に正解はありません。
それぞれの企業が峻別基準について独自の考え方を築き、実践していく時代だからこそ、この本の意義があると考えています。
―ご出版前後の変化はありましたか?
山崎 大きな変化はありませんが、あえて言えば、さまざまなご指導をさせていただく際に、お客様に納得していただく度合いが一段と増したと感じる点です。30年間にわたって自分が考え実践したことが、出版を通じて深まり、整理されたことの証しでしょう。もちろんよい意味での安堵感もあります。これは、新たな一歩を踏み出すきっかけになるような気がしています。
―どんな人に読んでもらいたいですか?
山崎 最も読んでいただきたいのは、現経営陣です。先ほど申し上げたように、「次世代」への引き継ぎがうまくできてこそ合格点になります。したがって、そのために考え、実践すべきことは何かを整理するきっかけにしていただきたいと思います。何もせずに「次世代」に引き継いだ場合、経営レベルは引き継いだ時点で低下してしまうのが普通です。その危機感を前提に、しっかりとした準備をしていただきたいのです。
第二に、次世代リーダーに読んでいただきたいと思います。この本では、次世代リーダーを「価値創造人材」と「経営者人材」に絞り込んでいますが、そのレベルを最高にするための実践ノウハウが整理されています。もちろんそれをそのまま受け入れるのではなく、自分の軸を確立するためのヒントにしていただきたいと考えています。
さらに、自ら起業して、アーリーステージからミドルステージにさしかかり、壁を感じている経営者の方にも読んでいただき、壁を打ち破る一助になればと願っております。
―山崎様にとって「出版」とは何ですか?
山崎 ずばり、「自己の成長ツール」です。なぜ「成長ツール」になるのか、その理由は二つあります。
一つは、「出版」によって自分の考え方を「見える化」することができるからです。本書でも記しているように「見える化」とは、数値化、図式化、文字化、ひとこと化です。また合わせて「深い思考と気づき」の重要性についても説明していますが、出版は、間違いなくそのための道具だと言えるでしょう。
「成長ツール」であるもう一つの理由は、「見える化」した自分の考え方に対し、これまで接点のなかった多くの方々から貴重な意見をいただくことができるからです。私は今回が3冊目の出版ですが、先の2冊の本を出したときも、多くの意見をいただきました。まさに本書で記したように、自分の「器」を広げる絶好の機会になると信じています。
―自著の紹介をお願いします。
山崎 この本の特徴を一つだけ、と言われたら、私自身が「実践から得たノウハウ」を記したものだと答えます。そして、第1章の「次世代」価値づくりでは大きく「4つのノウハウ」、第2章「次世代」の人づくり、第3章「次世代」のしくみづくりにおいては、細かく「66の実践原理」という形に整理し、日々の経営に活用していただけるようにしました。
もちろん、多くの先輩の方々、研究者の方々が書かれたものや、ご意見を大いに参考にさせていただいておりますが、私自身が事業開発、人材開発のご支援をした体験を通じて、実際に学んだ点、感じた点、整理した点に絞って記しています。理論に基づいた本ではなく、実践に基づいた本なのです。
その意味では、この本は、お客様と一緒になって奮闘してきた30年間の歴史が集約されたもの、と言えるかもしれません。「おわりに」に書きましたように、お客様には心の底から感謝申し上げる次第です。
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