復讐された者はどうだろうか。

その復讐を恨んで復讐したら、結末はないだろう。

永遠に連鎖する。それが人間の姿だろうか。

（本文『二十一』より）

――1998年７月。交差点に飛び出した、様子のおかしな女。

彼女の過去に迫る時、戦禍の影に隠された悲痛な叫びが聞こえてくる。

消えることのない憎しみの連鎖を鮮烈に描き出す衝撃の社会派ミステリー。