母のむね 父のせなか
親父を殺らければ生きていけない――。
- ジャンル
- 単行本 文学・評論
- シリーズ
- その他
- 著者
- 松田 遊民・著
- ISBN
- 9784779006432
- 判型
- 4-6 ・ 340ページ
- 出版年月日
- 2011-05-30
- 価格
- 1650 円(税込)
内容紹介
「俺はやっぱり親父を許せない。親父を殺らねばどうしても俺は生きていけない。この親父が生きている限り、俺は何一つ自分の意志で出来ない人間になってしまう――」と私は父を日本刀で切り殺そうとした。だが、母の面影が父に重なり、刃は足元の畳に刺さった。父は黙って私を見詰め返していた。初めて父の涙を見た。それから年月が流れた。父が79歳の初夏、彼の癌は転移・再発した。早くに死に優しい思い出だけを残してくれた母とは違い、長い年月をかけても父と子として歩み寄れないまま、父は死を迎えようとしている。記憶をさかのぼりかき集めてみても、未だに私にとって二人のことを理解したとはいえないかもしれない……。家族とはなんなのか、子にとって母とは、父とは? 家族の在り方を正面から見据え、死の向こうに絆を見ようとする著者の渾身のエッセイ。
■著者紹介
昭和23年茨城県行方郡北浦村山田(現行方市山田)生まれ。茨木大学教育学部卒業。元教師。
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