表現者の肖像 嵯峨野嘉竹
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 奈良・京都と云えば、寺社仏閣巡りを主体とする観光がどうしても思い浮かびがちですね。

 当然、それ以外にも、史跡や歴史的建造物拝観・書画鑑賞・名庭園観賞・博物館巡り・漂う土地の風を嗅ぐ街の散策・自然景観の観賞目的・貴重な祭事や行事の見分・風情や情緒を体感すること等々といった、時空を超えて古に思いを馳せる時間に浸ることであったりするのでしょう。

 或いは、そこに息づく伝統芸能や研ぎ澄まされた匠の技の継承から、培われた持て成しの意匠に触れることを楽しみにされるのかもしれません。

 それ等は、奈良・京都を愛し、それぞれに縁の下の力持ちとして影で支えた歴々の人々の手により可能とされてきたもので、温故知新を慈しみ、過去と現在が調和して日常に息づく裏には、その意義を継承し途切らすことなく、連綿として受け継がれる穏やかな意思が相伝されている事をご賢察の上で、両都を訪ねて戴きたいと願うのです。

 東京に遷都された後、京都の町は荒廃の憂き目に遭おうとしておりました。

 然し、その境遇を有力者知識人の叡智を以て好転させる新境地を齎す事業が開発されたのです。

 それが、琵琶湖から京都市中に水を通し、海産物を始めとする物資の輸送を船で展開させ、水力発電を利用した電灯と軌道電車を走らせる事で活気を蘇らせたのです。

 現在では、船の往来こそ潰えましたが、疏水の潤いは現在に脈々と受け継がれ、多くの寺社や庭園を潤しています。
 

特別な拝観をする

御所・離宮
 京都には、合わせて四か所の御所と離宮が在ります。

 その内、仙洞御所は京都御所の中に在り、拝観を希望される場合には、京都御所の拝観願いとは別に拝観願いを提出し、許可を得なければなりません。また、離宮の拝観を希望する場合も、宮内庁宛てに往復ハガキにて所定事項を記入の上許可を得なければなりません。

 こちらが皇室関係の特別拝観施設です。
京都御所
仙洞御所
桂離宮
修学院離宮

事前許可が必要な寺院
 西芳寺(通称苔寺)は、直接往復ハガキなどにて拝観許可を得なければならない。


 奈良にしても、京都にあっても、存在した城郭は三十を優に超える数を控えていたのです。当然、栄枯盛衰の常にあって衰退の憂き目に遭い現存するものは僅かしかなく、現実に、この両地でも幾多の戦が繰り広げられた痕跡を知ることができるものは、城跡公園や史跡・石碑のみとなってしまっており、平和な現在に在っては歴史の証人としての存在を示しているのです。

 しかし、その生々しい歴史の傷跡や多くの遺構から、特に伏見城から多数の残材を幾つかの寺社に血天井などとして移築し、また、戦での焼失を免れた門などが拝観可能な状態で保存され現在に蘇っています。

京都の繁栄

 京都は、政治と王朝文化を融合させ、独特の雅を育み、茶道から華道を通して香道等の、道と呼ばれる粋や侘び寂びという精神文化を生み出していったのです。
したがって、その違いを体感する、或いは、見つめるといったこともお勧めしたいと思います。

観光施設(名所・旧跡・庭園・寺院・城跡)拝観諸注意
 取り分け数多い施設といえば寺社仏閣になりますが、全てが拝観可能という訳ではないのです。そこで、拝観可能な寺社仏閣についての拝観方法を説明します。

一、観光寺院…清水寺に代表される、常に有料にて拝観できる寺院。
二、開放寺院…平安神宮・大徳寺等の、境内の拝観は自由で、塔頭や庭園については非公開である場合が殆どです。
三、非公開寺院…通常非公開な寺院です。
四、拝観謝絶寺院…一般のお寺で、墓地を備えたものが多いです。
五、非公開寺院…通常非公開です。「但し*事前交渉」にて拝観を許
可される場合があります。その際の拝観料は不明 ですが、心付けは心掛けたいものです。
六、特別拝観…御所や離宮、西芳寺(苔寺)では、事前の拝観許可申請が必要となります。

* 事前交渉は、直接当該寺院に電話等にてお確かめ下さい。
* 特別拝観許可申請については、御所・離宮は御所内の宮内庁所へ、往復はがきにて申し込む方法と、インターネットによる申請方法も最近では増えてきているようです。

拝観注意事項
一、写真撮影…注意事項として受付場所に表示されます。
① 写真・ビデオの撮影が容認されている場合は、機材で建造物や施設を荷物などで傷付けぬよう十分注意し、他拝観者の見学の妨げと為らぬように心して下さい。
三脚の使用は、禁止されていなければ庭や苔や建物などの施設を傷つけないように注意しなければなりません。

二、仏像拝観…一期一会と云いますか、何回、拝みに参られたとしても、仏様の表情はその度に違います。それは、拝む私たちの心境で変わるのであって、仏様は、私たち夫々に写し鏡のようにお姿を見せるのです。
そこから、自らご自身の為すべきことを知れます。
* お数珠の持参をお勧めします。  

三、庭園拝観…殆どの庭園は順路に沿った拝観となっており、定められた通行規定を守り進みます。
進入禁止や立ち入り禁止区域は元より、苔や草花を踏む事は厳に慎まなければなりません。

四、荷物…建物・設備・貴重品・調度品・絵画・仏像・等々の様々
な国宝や重要文化財を拝見するのですから、絶対に損傷をさせぬよう充分注意しなければなりません。その為には極力手荷物は持たない方が安心ですし、行動にも自由が利きます。

主な行事

奈良の行事
若草山山焼き
修二会(東大寺のお水取り)
春日若宮おん祭り
鹿角伐り
春日大社万灯篭
大仏お身ぬぐい
正倉院展

京都の行事
葵祭(賀茂祭)
茅の繰り
祇園祭
五山の送り火
 明治以前には西方に更に幾つかの送り火が存在していた様です。
時代祭
鞍馬火祭り
壬生狂言
千灯供養
三船祭
朮参り
京都五社巡り
東の八坂神社
西の松尾大社
北の加茂別雷神社
南の城南宮
中央の平安神宮

両都の特筆したい人物

奈良
鑑真和上
行基

京都
角倉了以
山縣有朋

その後の両都に関わり尽力した人物
アーネスト・フェノロサ
岡倉天心 … 仏像の保護・保存を行った。
棚田嘉十郎 … 平城京跡の保存・再現を、資産を擲って訴えた。
犬養 孝 … 明日香村保存に貢献した。

 

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